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意味が多岐にわたる “spare” のコアを考え、そのコアから “spare” を使ったいろんな英文を読み解いていきました。

spare” という語はいろんな意味があるため、意味がとりにくい単語の一つではないでしょうか。

その “spare” がアニメ版「美女と野獣」の一場面で使われていました。

その場面は、ビーストの城に囚われの身になった父親のモーリスの代わりに娘のベルが自分が身代わりになると言った時のシーンです。

ベル: Wait! (待って!)

モーリス: Belle! (ベル!)

ベル: Wait!

モーリス: No, please spare my daughter! (娘だけは見逃して欲しい)

ビースト: She's no longer your concern. Take him to the village. (つべこべ言うな。町へ送れ)

アニメ版「美女と野獣」


ベルの父親のモーリスは、ビーストに向かって “No, please spare my daughter!” (娘だけは見逃して欲しい) と叫びます。

spare my daughter が「娘を見逃す」と言う意味になるのは少し分かりづらいのではないでしょうか。

なぜなら “spare” は、

“Can you spare me a few minutes?”「少しの時間を割いてもらえない?」(= 少しお時間いただけない?)

のように「時間などをさく」という意味や、a spare key「スペアキー」のように「予備の」の意味で使われることが多いからです。

spare key というのは、普段使いのキーを無くしたりした場合に使うものなので、もっと言えば、「あえて横に置いておく」キーと言えます。

ですから、

「あえて横に置いておく」が spare のコア

になります。このコアを頭に置いておくと、いろいろな spare が使われている英文の理解の手助けになります。

例えば、empty seats と spare seats の違いです。両方とも誰も座っていない空席のことですが、empty seats は単に「席が空いている」という意味なのに対して、spare seats は空席は空席でも万が一、予定していなかった人が来た場合に備えて「あえて横に取っておく」席という意味になります。

Can you spare me a few minutes?”「少しの時間を割いてもらえない?」は、「少しの時間を横にとっておいて私に使わせてもらえないかな?」という意味として捉えることができます。

What do you like to do in your spare time?「自由時間(余暇)には何をするのが好き?」

I have no time to spare.「暇がない」
→ 「自由時間(暇) =「横に置いておく時間」

We have a spare room if you want to stay the night.「もし泊まりたいなら、予備の部屋がありますよ」
→「予備の部屋」=「あらかじめ取ってある部屋」=「横に置いてある部屋」

You must not spare any effort.」
「努力を惜しんではいけません」
→「努力を惜しむ」=「努力を横に置いておく

Can you spare some change?
「小銭を少し分けてくれませんか?」
→「小銭を分ける」=「私の分の小銭を横に置いておく

※ ただこの表現はお金に困っている人が、お金を恵んで欲しいという時の表現で、小銭が財布になくてその場で貸して欲しい場合は、”I don’t have any change now, so can you lend me some?” などというのが普通です。

He spared no expense on his wedding.
「彼は結婚式に惜しみなくお金を使った」
→「出費(expense) を惜しみなく使った」=「出費を横に置かずに使った」

The city was spared from the disaster.. (その市は災害を免れた)
→「災害を免れた」=「その市は災害の横に置かれていたので、被害にあわなかった」

Spare the rod and spoil the child. (可愛い子には旅をさせよ」
→ 直訳は「ムチ(rod)を横に置いておくと、子供をダメにしてしまうよ」です。そこから、「ムチを省いたら子供がダメになる」

そこで「美女と野獣」で出てきたモーリスのセリフ “please spare my daughter!” ですが、spare のコアに沿って訳すと、「私の娘を横に置いておいておいて下さい、お願いだから」となります。

「娘を横に置く」というのは、娘に直接被害が及ばないようにしておくとも考えられます。

そこから「娘に被害を与えないで」=「娘を見逃して」

という意味になるのです。

spare はともかく「横に置いておく」というコアからさまざまな意味が生じてくるのを覚えておくと理解の手助けになります。

spare だけに限りませんが、単語のコアを掴むことは英語理解の大きな手助けになります。

英語って本当に面白いですね!

Thanks for reading my article till the end.

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