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【第131回】ディズニー映画「Mr. インクレディブル」のシーンから使える英語表現をいくつか掘り下げてみました。

Helen: BOB! IT'S TIME TO ENGAGE! Do something! Don’t just stand there! I need you to intervene! 「そろそろ父親の出る番よ。この子たちを何とかして」
Bob: You want me to intervene? Okay! 「いいのか?」

「ミスターインクレディブル」

engage は「従事する」ですが、「従事する」というのは「加わる」、「参加する」という意味に置き換えることができます。

すなわち、ヘレンがボブに言った BOB! IT’S TIME TO ENGAGE! は「ボブ、“参加する”時よ!」が直訳です。

子供たちが食事中に喧嘩をしだしたので、部屋にいるボブに妻のヘレンが助けを呼ぶシーンです。

BOB! IT'S TIME TO ENGAGE!
ポイントとなる語は engage です。engage in … で「…に従事する」というのは聞いたことがあると思います。

He engages in volunteer work. 「彼はボランティア活動に従事している 」

ここで“参加する”というのは、“(その場に参加して)子供たちの喧嘩を止める” ことです。この engage には“積極的に何かに参加する、行動する“といったニュアンスがあります。

ですから、BOB! IT’S TIME TO ENGAGE! 「(今こそ)積極的に行動して子供たちの喧嘩を止める時よ」とボブに呼びかけているのです。

engage という1語でそんな意味を含むなんて面白いですね。ここでは自動詞として engage が使われていますが、次のように他動詞として使うことも可能です。

We need to engage our students in class.
「生徒たちを授業に参加させる必要がある」

これは、一方通行の授業ではなく、ペアーワークやグループワークを通して生徒たちを授業に”積極的に参加させる“必要があるという意味です。

何か夢中になれるものを探しているなら、

I’m wondering if there is anything that engages him...
「この子を夢中にさせるものが何かないだろうか…

です。

「積極的に取り組ませる」という engage が「(誰かを) 夢中にさせる」という意味になるのはわかりやすいのではないでしょうか?

engage ー 便利な英語なのでどんどん使っていきたいですね。


Lucius: Hey, Speedo! Hey, Helen. Vi, Jack-Jack. 「みんな元気だったか?」
Bob: He-hey! Ice of you to drop by. 「アイスる友よ」
Lucius: Ha! Never heard that one before. 「マンネリギャグだ」

< ダッシュが空中に吐いた唾をLuciusが一瞬で氷にしてしまう >

Dash: Aw... I like it when it shatters. 「砕けるのが見たかった」

「ミスターインクレディブル」

* Lucius: ボブの友人で、液体を一瞬で氷にしてしまう能力をもつ元スーパーヒーロー。

① Ice of you to drop by.
Nice が Ice になっているユーモア溢れる文です。( It’s ) Nice of you to drop by. は「立ち寄ってくれてありがとう」です。

drop by は「ちょっと立ち寄る」です。それが Ice of you … とジョークとしてボブが友人のルシアスに言ったのは、ルシアスが“氷を操る能力”を持つ元スーパーヒーローだからです。

氷 = ice なので nice にかけて Ice of you to drop by. と言ったのです。ice と nice は韻を踏んでるので、スムーズに読むことができますね。

日本語字幕「アイスる友よ」はなんて言っていいかわからないぐらい素晴らしい意訳ですね。私なら何日考えても思いつかないと思います…

そのジョークに対してルシアスが Never heard that one before. 「今までにそんなジョーク聞いたことがないぞ」と返しました。

その字幕が「マンネリギャグだ」となっているののですが、イマイチ理解できないです… 「一度も聞いたことないジョーク」は、ある意味新鮮なので、「マンネリ」ではないと思うのですが… I got sick and tired of it. 「聞き飽きた」なら腑に落ちます… 頭の中にこの疑問を置いておき、また深掘り考えたいですね…

I like it when it shatters.
ダッシュが吐いた唾をルイシアスは氷にしてしまいますが、剣のように固まった氷になってしまい、思ってたのと違っていたのでダッシュが不満気に言った言葉です。

字幕は「砕けるのが見たかった」ですが、直訳は「それ(吐いた唾)が砕ける時、それ(を見るの)が好き」です。この表現のポイントは I like it when ... です。「…するのが好きだ」と it は when ... を指します。

I like it when you smile. 「君の笑顔が好きだ」 ・・・①

この表現を取り上げたのは、 普通に I like ... との違いを理解するためです。「君の笑顔が好きだ」は、

I like your smile. ・・・②

と書くのが一般的ではないでしょうか。

① と② の違いですが、①の英文を直訳するとわかりやすくなります。 ①の I like it when you smile. は、「僕は君が笑う時、それ(その笑顔)が好きだ」です。

この文は、笑うという行動に焦点を当てていて、相手が笑っている瞬間が好きだと伝えています。ポジティブな雰囲気を作ったり、自分を幸せにしてくれるからかもしれません。

②の I like your smile. 「僕は君の笑顔が好きだ」は、相手の笑顔という見た目が好きで、 I like it when you smile. と違って、笑ってる瞬間でなく笑顔そのものが好きだという意味です。

「私のどこが好きなの?」への答えは、 I like your smile. がより適切です。

それに対して、笑顔が素敵な人がずっと笑顔を見せなかったとします。でもある時、久しぶりにその人の笑顔を見たら、 I like it when you smile. の方がピッタリです。

I like it when he wears a tie. 「ネクタイをしている彼が好きです」


Helen: Oh. Bowling night. Say hello to Honey for me, Lucius. 「ボウリングね。奥さんによろしく」
Lucius: Will do. Good night, Helen. Good night, kids. 「分かった。みんなおやすみ」

「Mr.インクレディブル」

Will do.
I will do that. の省略形で、「わかったよ」という意味です。とてもインフォーマルな表現でよく知っているもの同士で使います。

日本語同様、英語でもその場の状況に合わせて使い分ける表現がいろいろとあります。

Will do.  もそうですが、日本の教科書や参考書にはインフォーマルな表現はあまり(というかほとんど) 載っていません。

それは裏返せば、フォーマルな場を想定したものがほとんどだからです。でもよくよく考えると、海外の友達を作ったり、ホームステイしたりとインフォーマルな場面で使う英語の方が多いのではないでしょうか。

ですから、参考書や教科書にもカジュアルな表現もフォーマルな表現と一緒にもっと載せた方がいいのではと思います。(”受験英語“という言葉を出されると何も言えなくなってしまいますが…)

生徒たちもその方が“英語にとっつきやすくなる“のではないでしょうか。受験などでも Will do. なんかが出てきても面白いと思います。

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