
川野車人形
東京都では、毎年1月から3月にかけて、都民芸術フェスティバルを開催中。
オーケストラ、オペラ、バレエ、民俗芸能など、11分野が参加しています。
奥多摩地方の伝統芸能、川野車人形を見たくて、出かけてきました。
会場:文京シビックホール
所在地:東京都文京区春日1-16-21
鑑賞日:2024年3月23日
川野車人形
車人形は、ろくろ車(箱車)にすわり、一人で一体の人形を操るお芝居のことです。

幕末にあたる文久年間ころ、山岸柳吉(初代西川古柳)によって考案され、多摩地域を中心に関東一円に広まりました。
今では、東京都奥多摩町川野、東京都八王子市、埼玉県三芳町の3箇所にのみ、残っています。
八王子では令和4年に、川野では令和5年に国指定重要無形民俗文化財に指定されました。
ところで奥多摩町って?
東京都にお住まいでなければ、ご存じない方のほうが多いかもしれません、都内に町や村があることを。
23区、26市、5町、8村。
町や村の多くは島部ですが、奥多摩に4つもあるんですよ。

公演前に「川野車人形」がどんなものか、解説してくれました。
括り付けたろくろ車に座って、舞台を移動します。

人形の足には、「かかり」が取り付けられており、演者が足の指と指ではさみます。
演者が歩くと、人形が歩き、すなわち演者の歩みと、人形の歩みは同じです。


<車人形の骨組み>

「八王子車人形の操法」
ご覧のように、人形には胴体がなく、自立していません。
竹の輪に足が吊り下がっていて、ぶらぶらしています。
この上に衣装を着せます。
<車人形の操作法>


リーフレットと同じ!
<小道具を使う様子>

<セリフ>
演者は声を発しません。
鼓や三味線の音色にのせて、太夫が謳います。

<本日の演目>
『源平盛衰記 盛利注進の段』
平盛利は平安時代の武将で、『平家物語』や『源平盛衰記』に登場する、平盛俊のことです。
源平合戦の「一の谷の合戦」、源義経の「鵯越の逆落とし」を受けて、もはやこれまで、となった平家の様子を、平敦盛にご注進する、という哀しいシーン。
調べてみたところ『源平盛衰記』の平盛俊は、一の谷の合戦で戦死しているようです。
文楽が三人で一体の人形を扱うのに比べ、一人で扱うため、場所を取らないことがメリットのひとつ。
普段は後継者グループ『川野車人形若衆組』のメンバーが演じるのですが、この春、卒論などで忙しいため、大人たちが演じます、とのことでした。
川の車人形若衆組のfacebookはこちら
若い人たち、頑張ってください。
<参考資料>
『八王子車人形報告書』八王子市教育委員会編纂・出版 2020年
八王子車人形リーフレット 八王子市教育委員会作成
奥多摩町公式webサイト
https://www.town.okutama.tokyo.jp/1/kyoikuka/bunka_sports/4/836.html
「第55回東京都民俗芸能大会IN BUNKYO 世界の宝 江戸東京の芸能伝承」リーフレット 2024年