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ゲームジャムで音ゲーを作った話

Unity1週間ゲームジャム(お題「かわる」)に参加しました。
お祭りも終わったということで、今回チャレンジしたことや得た知見、結果の分析、反省などをアウトプットして、自分なりに整理しようと思います。
特にオチはないですが、ご覧いただけたら幸いです。


自己紹介

改めましてこんにちは、POPLINER '99です。
Unityを使ってゲーム開発をしています。
Android向けにゲームをいくつかリリースをしております。
unityroomにも何本か投稿させていただいております。

今回は何を作ったのか?

今回は、ゲームジャムが始まる前から「音ゲーを作ってみたい」と思っていました。
最近、友人のmsknstさんの曲を聞かせてもらって、「この曲でゲーム作りたいなぁ、この曲をゲームで使うとしたら音ゲーだなぁ」と思いまして。

お題発表

3/18(月)、お題が発表されました。
「え、『かわる』? 色々な解釈ができるけど、作りたいゲームありきだと、お題に沿わせるの難しいかも・・・!」と感じました。
今回使わせていただいた曲の歌詞や曲調は、あまり「変わる」という雰囲気ではないので、曲そのものをお題に紐づけるのは難しそう。ならばゲームの内容で「かわる」を表現したいけど、いいアイデアが出てこない。
1日悩んでも何も思いつかず、「音ゲーありきはやめて別のゲームを作るか」とも考えましたが、それはなんだか後悔しそう。
音ゲー部分の制作にどれくらいかかるか見通しが立っていない状態なので、一刻も早く着手しないと間に合わない。
「進めばきっと、自ずと答えが見えてくるだろう」とアントニオ猪木さんみたいなことを考えて、着地点の見えないまま進むことにしました。

制作開始!

msknstさんに連絡して「Beautiful Journey」を使わせてもらいたい旨を伝えると快く了承してくれて、すぐにmp3を送ってくれました。
感謝〜。

ですが、音ゲーの基礎部分の構築は大変でした。
色々なサイトを参考にさせていただきまして、現時点では、
「音ゲーの不可欠な要素は、①譜面そのもの、②ノーツとサウンドを同期させる考慮、③ノーツを決まった時間・決まった場所に到着させる仕組み」
・・・と自分なりに理解しました。
ですが、開発期間中は頭の中で整理できていませんでした。

譜面

とにかく実装を進めて、仕組みだけ出来上がったのが3/22(金)の夜だったかと思います。

次は、譜面作り。譜面とはいわゆる楽譜(スコア)のことですが、音ゲー界隈で譜面と言うと「いつどこにどのようなノーツを配置するか」という定義のことを表しているようです。今回の仕組み的には、ノーツの位置と種類を定義するJson形式のファイルに当たります。
比較的スタンダードと思われる譜面制作ツールを使って、いざ制作開始。
仕組みづくりと違って、曲に合わせたノーツの配置をする作業は楽しいはず! ・・・と思っていたのですが、意外と辛い作業でした。
細かいマス目にノーツを配置して、曲を再生し確認して、微調整して、もう一度確認して、全体的な整合性を取って・・・といった地道な作業の繰り返しで、精神的に疲れました。
私自身、特に優れたリズム感があるわけでもなく、また音ゲーが得意だったり知見があったりするわけでもないので、「うーん、このノートの配置は正しいのか? かっこいいのか?」と不安と戦いながらの作業でした。

土曜日の夕方に、粗さを残しつつも譜面が完成。
それをゲームに取り込んで細かい不整合をすり合わせ、一旦「なんとか遊べる」状態になったのが日が変わって日曜日の未明だったと思います。

困ったひらめき

火曜日の制作開始からこの時点まで、結局ゲームとお題を紐づけるアイデアは生まれませんでした。
まあ、あまり考えている暇もなかったですが。
土曜日あたりには「こじつけるしかない」という諦めを抱いていました。

しかし日曜日の未明、進捗状況をXにポストして歯磨きして布団に入ろうとした時に、「これは!」というアイデアが思いつきました。
内容についてはネタバレになるので控えますが、「今からこれ実装したら、さすがに期限に間に合わないのでは・・・。それにmsknstさんの協力が必要・・・」というものでした。

翌朝、msknstさんに事情を話したところ快諾してもらい、必要な追加楽曲を送ってきてくれました。
重ね重ね感謝。
この時点で「もうこのネタで行こう」と決断し、突貫で作って、なんと3/25(月)の朝9:00頃に公開できたのでした・・・!(いや遅刻。)

終わらない手直し①(ネタの演出力不足)

投稿し、早速コメントをいただきました。ありがたいです。
ですがその感想から、仕込んだネタがプレイヤーに伝わっておらず、最後までプレイされていないことが分かりました。
急ぎ原因を調べ、演出不足と結論づけました。
演出不足の要因は二つあり、一つはプレイヤーへ気づきを促す表現の工夫が足りなかった。
もう一つは、「ネタに気づかせるためのギミックがバグのせいで発動しなかった可能性」というもの。
(どちらが直接の原因かは、わかりません。)

急ぎ、ネタに気づきやすいように表現の修正をしました。
自分はネタを仕込む側ですが、プレイヤーがネタに気づかないというリスクを客観的に評価できていなかった。結果的に甘かったです。
また、バグは発生がランダムでしたが、開発環境で偶然発生してくれたため問題点が把握できました。このバグも修正。
これらの対応により演出不足は緩和したと思いますが、完璧に防ぐことはできず、この後も「最後までプレイ」できず途中でゲームを止めた方がいらっしゃったと思われます。
このことについては、また後ほど述べます。

終わらない手直し②(ノーツと曲のズレ)

それから、環境(PC)によってノーツと音のズレ具合に差があることに気づきました。
プラットフォームの違い(UnityとWebGL)でズレの程度が違うことには気づいていて、それは条件コンパイルで補正していました。これによって、開発用PCではほぼ環境差異を吸収できていました。開発用PCでは。
しかしリリースしてしばらくしてから、別のPCでプレイしたら、「え・・・! まだズレてる、なぜ!?」
解決したはずのノーツと音のずれがまだ発生していたのです。
結論としては、WebGLで必ず一定量のズレが発生するわけではなく、環境(PC)によってズレ具合が変わるというものでした。
詳細は割愛しますが、遅れる方(曲)に合わせてノーツを動かすように改修し、この問題を緩和させることはできました。

終わらない手直し③(その他)

いただいたコメントを元にゲーム性の改善や、スコアエントリ時に名前を未入力でエントリできてしまうバグの修正、他にも簡単に直せる演出の修正をしました。
直したい箇所は他にもありましたが、致命的でないものは打ち切りました。
コメントくださった皆様、全部取り込めずすみません🙏

結果は?

残念!

いずれの評価軸でも、上位50位には入れませんでした。
「サウンド」と「斬新さ」は、一定の評価を得られるのでは? と思っていたため、発表を見たとき「うぐっ」となりました。
今の実力を知れたことはもちろん良かったけど、悔しいな~。
「斬新さ」の評価軸が3.000で、これは自分が考えていたよりも低いスコアでした。(烏滸がましい。)
一方、「サウンド」は3.908でした。もうちょっとで50位に届いたと思いますが、とはいえ高評価うれしいです。評価してくださった皆様、ありがとうございます!

分析

意外とショックだったため、次回に臨む前に、評価結果について分析することにしました。

「斬新さ」について、なぜ乖離があったのか? 自分とプレイヤーの皆さんで、斬新さの方向性が違ったのか、それとも物差しが違ったのか。
これは多分、今までも述べてきた通り、お題回収の演出に、単に失敗しているからだ、と考えました。
失敗したというのは具体的には以下のようなものかなと推察しました。
・そもそもバグで、プレイヤーに気づかせるための通知が不発に終わった
・初回リリースバージョンの場合、リザルト画面でゲームを終えると通知を見られない。(タイトルまで戻って初めて通知が再生される実装だった。)
・通知に気づかなかった。(右上にひっそり出るので)
・通知には気づいたが、ゲームの要素だと気づかれず読み飛ばされた。
・メタな仕掛けだったため、ゲームの内容そのものに関係があると思われなかった。

いただいたコメントではネタに対して一定の好意的なご意見をいただいているため、ゲームの最後までたどり着いたプレイヤーにはある程度評価されていると感じていますが、上に書いたような理由で最後まで到達できなかったプレイヤーには未完成のゲームとして評価された、ということかなと推察しました。
もちろん、最後までプレイしたけど斬新さを感じなかった、あるいは、メタな演出が忌避された、というような可能性もあると思いますが、コメントの傾向から「演出力の不足でプレイヤーをゲームの最後まで導くことができず、その段階(未完成のゲーム)としての評価になった」という可能性が高いと感じています。
では、なぜ演出が不足、不完全だったのか?
当時を振り返ると、
・お題の回収方法を日曜日まで思いつかなかった。(検討したり作り込む時間が結果的になかった)
・遅刻を拡大させず、月曜日の朝9:00であきらめた。(同上)
ということかなと。
り下げると、「音ゲー部分をもっと早く作り終えていれば」とか、「無理なく実装できるお題回収にしておけば」と言い換えることもできます。
時間さえかけられれば、「もっと親切」「もっと伝わり易い」お題回収にできたとは思います。
ですが結局、その時間を確保することができず。バランス良いリソース配分、現実的な計画が大事なのも、やはり「Unity1週間ゲームジャム」の意義の一部だと考えれば、それができていないが故の評価なのかなと結論しました。
なので、直接的には自分が考えていたよりも品質が悪かった、根本的には段取りが悪かった、というのが原因かなと。「『うぐっ』とか言ってる場合じゃない、反省せよ。」ということです。
1週間で終わらせるなら1週間で終わらせる企画力、管理能力を発揮することが必要で、その能力の不足が数字に出てきたのかなと。

他の評価軸について。
「サウンド」や「絵作り」「雰囲気」についても、最後までプレイされたかどうかで評価が変わる気がしますので、演出不足はここにも影響しているなと考えます。
このせいで、最初の1曲分だけしかプレイされなかった方がいらっしゃると思うと、その方にも、曲を提供してくれたmsknstさんにも、申し訳なかったなぁと思います。
イラストについても最後までプレイしないと表示されないという仕掛けになっているため、双葉みつるさんのイラストを十分に活かせませんでした。

「楽しさ」「操作性」は、いずれも3.3点台でした。リリース後に含まれていたバグ(音ズレや、名前を空白でエントリーできるバグ)がありつつも、音ゲーとしては「特段、良くはないが、ダメでもない」といったところでしょうか。

評価以外のポイント

評価以外に、今回のゲームジャム参加で得たものがありました。

まず今回、「(仮)音ゲー」に15件ものコメントをいただきました
これは、自分の今までのゲームで最多です。
どのコメントも大切に拝読させていただきました!
自分でも時々忘れてしまうのですが、ゲームジャムへの参加の一番の目的は、皆さんに遊んでもらうこと、評価してもらうこと、そしてできればコメントをいただくことです。Google Playなどのプラットフォームで公開しても、レビューをいただけることはほとんどないのですが、Unity1Weekなら(同じゲーム制作者目線ですが)コメントをいただける。
レスポンスがあると本当に「ゲーム作ってるなぁ」という実感があります。
たくさんのコメント、嬉しかったです! そして、初心に還ることができました。
今後とも是非よろしくお願いします。

それから、今回はなんと、
3/25(月)の朝9:00頃に公開できたのでした・・・!(2回目)
ゲームジャムへの投稿は今回で7回目だったのですが、先ほど改めて確認したところ、1回を除いて数日~最大2週間の遅刻をかましていました。
今回、13時間の遅刻でしたが、これは2番目に早い投稿でした。
自分にとっては、快挙です。
もちろん、「いや遅刻だよね?」と問われても一言もないのですが、自分しかわからない小さな実績もしっかり評価できた方が良いかなという話でした。
ちなみに、以下が初めてゲームジャムに投稿した作品です。これは、土曜日の朝から作り始めて日曜日20:00に10分程度の遅刻という、自分の中では驚異的な開発スピードの作品でした。この時はどうかしてた。

最後にもう一つ。
今回は、友人(msknstさん)とゲーム制作で絡めたのが楽しかったです。
既存の曲を使わせてもらった形ですが、制作の最終盤で面倒なお願いを聞いてもらったりして、助かりました。ありがとうございます!

総括

今回、音ゲー制作にチャレンジしたことは貴重な経験になりました。
本格的な音ゲーを作りたい! という展望は今のところないのですが、リズムゲームの要素を取り込んで面白くする、という手法をよく見る気がするので、音ゲーの基礎的なところに触れられたのは良かったです。
また、日曜日の朝から実装するにはちょっと無茶なお題回収を試みたのも、結果はともかく良い挑戦だったと思います。こぢんまりとしたお題回収にするよりも、皆さんの記憶に残るゲームになったかなと。後悔はしてません。
(こじつけっぽいお題回収がダメと言っているわけではなくて、今回はこれで良かったという話です。実際、こじつけ回収は何度もやってるので😃)
50位以内に入れなかったことで「うぐっ」となったことも、ポジティブに言い換えれば「欲が出てきた」とも言えるので、ある意味成長なのかなと。(ポジティブすぎるか。)

音ゲー制作のメモ

参考にさせていただいたコンテンツ

今回の制作にあたり、いろいろなサイトや動画を参考にさせて頂きました。

「ノーツを決まった時間、決まった場所に到着させる仕組み」をこちらの一連の動画から学ばせて頂きました。

譜面エディタ。音ゲー用の譜面(Json形式)を編集するツールです。Unityプロジェクトの形式です。
Wav形式のみ対応、と書かれているのですが私はmp3でもいけました。謎。

上記のNoteEditorの使い方は、以下のサイトが詳しいです。

他にもいろいろなサイトを参考にさせて頂きました。感謝します。

ピアプロライセンスについて

「Berautiful Journey」が初音ミクの曲だったこともあり、初音ミク関連のビジュアルの素材を使わせてもらいたいなーと考えました。
とはいえ版権ものなので、ライセンスがどのような感じになっているのか気になりました。
調べたところ、クリプトンさんの管理するキャラクターの二次創作に関しては、「ピアプロ」というサイトで管理されている場合、一定の条件のもとで使いやすい状態になっているようです。
詳しくは以下をご覧ください。上のリンクは概要、下のリンクは作者ごとに設定できる使用条件の説明です。

正直、分かりやすい! と思いました。
もちろん、双葉みつるさんの「風が吹く」もピアプロで見つけたものです。

謝辞

今回の「(仮)音ゲー」の制作にあたり、アセットを提供してくださった皆様に改めて感謝申し上げます。

Beautiful Journey(msknst様)

風が吹く(双葉みつる様)※ピアプロライセインス

あかずきんポップ(フロップデザインフォント様)

効果音多数(OtoLogic様)※CC BY 4.0

長ねぎのイラスト(いらすとやさん様)

その他、多数のUnityアセットを使用させていただいております。詳細は、以下のサイトの「使用アセット」をご覧ください。

最後に

最後になりましたが、拙作「(仮)音ゲー」、ぜひ遊んでみてください!


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