今夜は中秋の名月! 絵本でお月見しませんか? 編集者おすすめの1冊
みなさんのお住まいの地域からは、月が綺麗に見えるでしょうか?
お団子やススキをお供えして、美しい「中秋の名月」を見ながら収穫に感謝する、というこの行事。物語の主人公たちも、いろんな方法で月夜を楽しんでいます。
今回はそんな「月」にまつわる絵本を児童書編集者がご紹介します!
『おつきみおばけ』
(作・絵 せなけいこ)
小さいころ、「月にはうさぎがいて餅つきをしている」といわれるたびに、「へー、どんな味のお餅だろう!」と、お腹を空かせていた私ですが、絵本には、お月見団子に化けちゃった優しいおばけのお話があるんです。
十五夜の夜、「あーん! ママがいない!」と泣いているうさぎの子を見つけたおばけ。
「ほーら、みてごらん。きれいなおつきさまだよ」
うさぎの子をなぐさめながら、ススキをかざり、お月見準備をします。ところがお団子がないことに気づき、おばけはお団子に化けることに。
すると、うさぎの子がそのお団子をガブリとかじったものだから、今度はおばけの方が「あーん あーん」と泣きだす始末。
最後は、お団子を買いに行っていたうさぎのおかあさんが戻り、みんなでお月見を楽しみます。
自分よりも小さな子を可愛がったり、助けようとする心優しいおばけのお話です。
しかし、おばけのお団子も、ちょっと食べてみたいと思いませんか? 口当たりはひやっと、味はほんのり甘いのかな……。
(文・小堺加奈子)
『よるのふね』
(作/山下明生 絵/黒井健)
綺麗な満月の夜って、なんだか特別なことが起きそうですよね。この絵本は、そんな月夜に繰り広げられる不思議な海の冒険がテーマです!!
ある満月の日、海を眺めていた女の子とお父さんは、遠くで点滅する光を見つけます。それは「いい月夜だから、よるのふねに乗ってあそびにおいで」という合図だそう。
さあ、光のところへ行ってみよう! お父さんが「よるのふね」となり、女の子を乗せて夜空の中を進んでいきます。
そこで待っていたのは港に立つ大きな灯台。話を聞くと、世界中の灯台が集まるお祭りが今夜開かれるのだとか!
そう言うと灯台は自ら海に入り、泳いで会場へ向かい始めました…!!
会場では灯台たちが大集合し、歌ったり踊ったり、リレー競争をしたりと大賑わい。時には光の腕を上げてハイタッチも! 夜の海で交差する光がとっても幻想的です。
それにしても様々な灯台が一斉に動き出す様子は大迫力。ぜひ絵本を手に取って、じっくりとご覧いただきたい場面です。
月が綺麗な夜に心躍る気持ちは、人間も灯台も同じなのかもしれませんね。
そんな空想を楽しみながら読んでみてください!!
(文・長谷川舞)
くまの子ウーフのおはなし
『おかあさん おめでとう』より
「お月さんはきつねがすき?」
(作/神沢利子 絵/井上洋介)
十五夜の日、くまの子ウーフは、お月さんにお供えする花をとりに、野原にやってきました。
そこで出会ったのは、萩の花を摘むうさぎのミミちゃんと、コロッケを持ったきつねのツネタ、ツネタの弟のコン。
「お月さんは、むかしから、うさぎとなかよしなのよ」というミミに、ツネタは返します。
「見ろ、お月さんはきつね色だよ。コロッケもきつね色。お月さんときつねはなかよしで、ぼくが走るとついてくるよ。」
そうして土手の上をかけだした、ツネタとコン。
ウーフもミミといっしょに、かけだしました。さて、お月さまはほんとうは、だれとなかよしなのでしょう?
走っても、ふりかえれば変わらず見えるお月さま。十五夜の大きなお月さまが、いつもついて来てくれている、と想像するとなんだか嬉しくなりますね。
すすきに萩、おみなえしに野菊、われもこうなど、秋の草花もたくさん登場。今の季節にぴったり、野原で深呼吸したくなるお話です。
(文・上野萌)