まるで火をふく、タイヤのドラゴン!『かいけつゾロリのドラゴンたいじ』――絵本を思い出すところ#23
絵本の中の風景へ想いを巡らすとき、それを手にした幼い頃の記憶もまた、絵本の思い出の一部になっていく――そんな「絵本を思い出すところ」を編集者とカメラマンが探していきます。
街のなかに、とつぜんあらわれる巨大生物。
屋根のあいだから、ぎらりと光る眼。
まるで火をふく、タイヤのドラゴン!
大きな口に、白いきば。
毎日遊んだ公園の主。
今も変わらず、
古タイヤに囲まれて鎮座する。
大好きなゾロリの本みたいに、
ドラゴンたいじにでかけよう!
大きな黒いタイヤをくぐり、
お姫さまをさらったドラゴンは
すぐそこに。
だけど、知ってる? ドラゴンのひみつ。
何度読んでも、面白い!
いたずらの天才ゾロリ、イシシ、ノシシ。
大人になっても、永遠のヒーローたち。
どんなピンチものりこえて、
ゾロリの旅は続くのです。
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『かいけつゾロリのドラゴンたいじ』 作・絵/原ゆたか
原ゆたかさんのゾロリシリーズ記念すべき1作目。
ひとりでいたずらの修行の旅に出たゾロリ。あるとき、ふたごのいのししイシシとノシシから、この国のお姫さまが結婚することを聞き、花むこになるべく作戦をたてることにしました。結婚式の当日、お城のかべのむこうから大きなドラゴンがあらわれ、お姫様をあっという間にさらっていってしまいました! 「ドラゴンを退治してみせます!」と王さまにちかったゾロリですが、はたして……。
いたずらの天才ゾロリがアーサー王子に次々としかける悪だくみの数々には、ニヤニヤとワクワクが止まりません。本のすみずみまで詰まったサービス満点のギャグを見れば、たくさんの子供たちが夢中になってきたことも納得。読めば、とにかく楽しく元気になる作品です。
https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/5250097.html
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(ロケ地/西六郷公園〈タイヤ公園〉 文・編集/齋藤侑太 写真/白井晴幸)
ポプラ社 齋藤侑太
1985年、茨城県生まれ。2012年、ポプラ社入社。営業職、社内デザイナー、幼児向け書籍の編集を経て、2020年から絵本の編集を中心に担当。
白井晴幸
東京都生まれ。2010年、多摩美術大学卒。作家として活動する傍らカメラマンとして本の装丁や風景、建築などを撮影している。≪Website≫