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「一般書通信」の中の人たちが読者に贈りたい本15選

「本を贈る日」に、編集部からあなたへ

みなさんは、誰かに「本」を贈ったことって、ありますか? 友人、恋人、家族、親戚の子ども……、対象は誰でもかまいません。

あの人にはこういう本が似合うんじゃないか、読んだら気に入ってくれるんじゃないか。あるいは、この素晴らしい本をあの人に読んでほしい、この本をきっかけにお近づきになりたい……などなど、動機もなんだってかまいません。

もしかすると、本を贈るとまではいかなくても、本の貸し借りをした経験ならあるかもしれませんね。「あなたもコレが好きなんですね! じゃあ、アレも好きかもしれないですよ? よかったから今度貸しましょうか」みたいな。

いずれにせよ、相手のことを考えながら自分の本棚とにらめっこする時間、これぞという本を手渡す瞬間のドキドキ感って、なにか独特なものがありませんか?(私は結構、あの感覚が好きです)

……とまあ、なぜこんな話を急にし出したかと言いますと、実は、今日が「本を贈る日」だからです。

【サン・ジョルディの日】
親しい人に本を贈る日。4月23日。
昭和61年(1986)に出版関係の団体が始めたもの。サン=ジョルディ(Sant Jordi)はスペイン、カタルーニャ地方の守護聖人で、スペインでは命日の4月23日に本の市が立ち、花とともに本を贈り合う習慣がある。(デジタル大辞泉より)

この文化、ご存じでしたか?
4月23日は、まさにこの「サン・ジョルディの日」です。さらに言うと、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)が、本とその作者たちに敬意を表するために定めた「世界本の日」(世界図書・著作権デー)でもあります。

そんなわけで、せっかくの「本を贈る日」に何もしないのはつまらないので、急遽、思いつきで一般書のメンバーに呼びかけました!

「あなたが、読者に贈りたい本を一冊、教えてください」

「21日(月)17時迄にください~。推薦コメントもください~」と18日(木)に呼びかけたところ(本当に急ですみません……)、ご多忙にもかかわらず、たくさんのメンバーが答えてくれました。

このブックリストが、誰かに本を贈る際の、あるいは、あなたが読みたい本を探す際の参考になれば幸いです。それでは、結果発表!

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文芸チームからあなたへ

1.吉田元子(一般書事業局)が贈る本

穂村弘 著『にょっ記』(文春文庫)
書店さんでは違う分類で売られていますが、日々の暮らしに役に立つ「実用書」として贈りたい本です。どんなに元気がないときでも、読んでいるうちにニヤニヤしてきて立ち直れるという効果があります。

2.野村浩介(文芸編集部)が贈る本

高村光太郎 訳『ロダンの言葉抄』岩波文庫
彫刻家ロダンが様々な場面で友人たちに語った力強い言葉。「今日はあんまりたやすく手に入るので欲望が強猛になる時間をもう持ちません。抵抗、征服すべき邪魔物、これが力を作り性格をつくるのです」「芸術とは自然が人間に映ったものです。肝心な事は鏡をみがく事です」など、ロダンを尊敬してやまなかった高村光太郎が訳したこの本は、繰り返し読み続けているバイブルのような一冊です。

3.藤田沙織(文芸編集部)が贈る本

ヨシタケシンスケ 著『あるかしら書店』(ポプラ社)
自分の担当作で恐縮ですが、この日にこそおすすめしたい本。本のある人生がどれほど楽しく、どれほど尊く、どれほどあたたかいかを改めて考えさせられます。本とはまさに人生であるということを教えてくれる一冊。

4.門田奈穂子(文芸編集部)が贈る本

竹下文子『木苺通信』(ポプラ文庫ピュアフル)
ずっと大好きだったお話がポプラ文庫ピュアフルになってとても嬉しかったので、プレゼントして喜びを分かち合いたい1冊。選ばれた言葉や表現のひとつひとつがすっと胸に入り、気持ちが凪いでいく気がします。

5.森潤也(文芸編集部)が贈る本

レイ・ブラッドベリ 著/北山克彦 訳/荒井良二 絵『ベスト版 たんぽぽのお酒』(晶文社)
SFの巨匠が描く、12歳の少年のひと夏の冒険。冒頭で主人公が「たんぽぽのお酒! たんぽぽのお酒!」と喜び叫ぶシーンが大好きなんですが、いつ読んでも少年の心のみずみずしさを思い出させてくれる名作です。

6.吉川健二郎(文芸編集部)が贈る本

里見真三『すきやばし次郎 旬を握る』(文春文庫)
いわずと知れた鮨職人、「すきやばし次郎」店主・小野次郎氏が一年間に握る鮨ダネについて語り尽くした名著です。カラー写真も満載で、鮨のことがもっと好きになりますよ。

7.末吉亜里沙(文芸編集部)が贈る本

たけだバーベキュー 監『豪快バーベキューレシピ』(池田書店)
簡単・美味しい・おしゃれ! なアウトドア飯レシピ♪ 去年キャンプデビューしたての私でも、すでに5つも作っています。大きな写真を皆で見ながら献立を考えられるのも◎。ベストシーズンの今、ぜひこれを持ってキャンプへ行ってみてください。

8.神代匡志(営業部)が贈る本

高野登 著『リッツ・カールトンが大切にする サービスを超える瞬間』(かんき出版)
この春、新しく社会人の仲間入りをした方へ贈りたい本です。AIの進歩が話題になるなかで、「人の手が介在する仕事」とは何なのかを教えてくれます。仕事で悩んだときに手に取りたい1冊です。

企画チームからあなたへ

9.浅井四葉(企画編集部)が贈る本

武田百合子 著+武田花 写真『遊覧日記』(ちくま文庫)
天性の観察眼と少女のような好奇心で多くのファンを持つ著者が、夫・泰淳の死後、「独り者に戻って」つれづれに綴ったエッセイ。花さんのモノクロ写真も素敵な、気軽に贈れる名エッセイ集ということで選びました。

10.天野潤平(企画編集部)が贈る本

上原隆 著『友がみな我よりえらく見える日は』(幻冬舎アウトロー文庫)
人からおすすめされて心底よかった本。ノンフィクション・コラムの名手が描くふつうの人たち。誰の人生にも物語がある。「人はみんな自分をはげまして生きている」(あとがき)とあるように、自分の支え方を教えてもらいました。

11.近藤純(企画編集部)が贈る本

川内有緒 著『空をゆく巨人』(集英社)
びっくりするような行動力で、突き進んでいくふたりの「巨人」のお話。わくわくしながら読み進め、そして本をぱたんと閉じてから、じわーと涙が出てきました。2018年の開高健ノンフィクション賞受賞作です。

12.木村やえ(企画編集部)が贈る本

忌野清志郎 著『ロックで独立する方法』(新潮文庫)
「成功」ではなくて「独立」して仕事をするとはどういうこと? 働き方を考える時、基本に立ち返れる1冊。4月で新年度なので選びました。

13.倉澤紀久子(企画編集部)が贈る本

シェル・シルヴァスタイン 著/倉橋由美子 訳『ぼくを探しに』講談社
人に本を贈るってむずかしい。でも、この本だけは何度もいろんな人に贈ってきました。足りないかけらを探す「ぼく」の旅……シンプルな絵と言葉だけの絵本なのに、描かれていることはとっても深い。いつ読んでもじんわり心にしみます。

14.大塩大(企画編集部)が贈る本

編集者.jp 編著『スゴ編。』(美術出版社)
編集者が書く編集論の本は多いですが、多くが小説やマンガ。本書はビジネス書などの最前線で活躍する編集者が書く編集論で、編集者がどんな思いで本を作るのかを知りたい方におすすめの一冊です。私もたまに読み返しています。

15.村上峻亮(企画編集部)が贈る本

岸見一郎 著『本をどう読むか』(ポプラ社)
ぜひ、この日に読んでいただきたい「読書論」です。著者が語る「読書」と「人生」についての述懐を自分に置き換え考えてもらえれば、きっとこれまで以上に「本がある幸せ」を実感できると思います。

【後記】
今回の企画は堀之内出版の中の人、小林えみさんから「サン・ジョルディの日に出版業界で何かやらない?」という呼びかけがあって思いついたものです。お声がけいただいてありがとうございました。また、使わせていただいた画像は、高崎のrebelbooksさんが作成されたものです。フリー利用可能とのことなので、みなさんもぜひご活用ください。
記事は、企画編集部の天野が作成しました。文芸・エッセイは別として、レシピブックまで挙がってくるのは予想外だったので、個人的にも楽しい結果になりました。このリストから、どれか1冊でも手に取っていただけたら嬉しいです! 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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