本のカバーの下にある、素敵な「表紙」の世界
本のカバーを見るのって、とっても楽しくないですか?
素敵な装画に素敵なデザイン。
小説そのものを心とするならば、本のカバーは体や洋服のようなもので、その二つが一体になってこそ「本」という存在なんじゃないかなあと思ったりします。
ところでみなさん、本のカバーって、めくったことありますか?
カバーの下にあるもの、それは本の「表紙」。
ふだんはカバーがかかっているから目に入らないし、カバーを外してじっくり見る人も案外少ないんじゃないでしょうか。
でもね。
実は、とっても面白い部分なんです。
カバーは外れるけれど、表紙を外すことはできません。まさに本を構成する一部分。
どのように本の世界を表現するのか、実はカバー以上にデザイナーさんの腕の見せ所と遊び心が詰まった部分なんじゃないかと思います。
(※カバー同様に、本の表紙もデザイナーさんがデザインをしてくれます。)
そんな「本の表紙」の魅力をたくさんの人に知って欲しい!
そう思い立って、いろんな本の表紙をお披露目していくことにしました。
ご紹介できるのはほんの一部ですが、ぜひカバーと見比べてみてください。
ご自宅にある本もカバーをめくってみると、気づいていなかった発見があるかもしれませんよ……
☆本屋さんでカバーを外すのはご遠慮くださいね
青山美智子さん『お探し物は図書室まで』
(デザイン:須田杏菜さん)
▲カバー
▲カバーを外した表紙
かわいいフェルト人形のカバーの下には、シンプルな本のマーク。オシャレですね~。緑の色味が上品でとても素敵です。
(須田杏奈さんコメント)
表紙はカバーとは違った別の顔を見せられる、比較的自由に作れるパーツなので見えない部分ですが実はこだわっています。
この本に関していえば、人と本が出会うお話なので表紙は本をモチーフにしました。
夏木志朋さん『ニキ』
(デザイン:next door design 岡本歌織さん)
▲カバー
▲カバーを外した表紙
カバーの下にあるのは「A」のマークと、長方形の枠の中にある三つの〇。これ、実は作中とリンクしているんです。読み終えてから表紙に気づくとニヤリとできること間違いなし。
(岡本歌織さんコメント)
読者の方にも、AとBとどちらだと感じるかを考えていただけたらいいなと思い入れてみました。
カバー装画を描いてくださった中村一般さんに長方形の枠と三つの丸を、様々な画材でいくつも描いていただき、その中から選んでレイアウトしています。
小路幸也さん『花咲小路一丁目の髪結いの亭主』
(デザイン:bookwall 上原愛美さん)
▲カバー
▲カバーを外した表紙
いつもたのしい花咲小路シリーズ。理髪店のカバーを外すと、真っ赤な表紙画姿を現します。よく見ると、真ん中にあしらわれているのはバリカンで、縦に入っている模様は、なんと理髪店の赤と青のポール!
(上原愛美さんコメント)
今回は理髪店の扉や屋根の色に合わせた、あたたかい色合いの紙を選びました。
本作りの現場にはいろんな紙があるので、いつも楽しく選んでいます!
冬森灯さん『うしろむき夕食店』
(デザイン:bookwall 築地亜希乃さん)
▲カバー
▲カバーを外した表紙
見ているだけでお腹がすきそうなカバーの下には、真っ白な表紙。ほかの表紙と違って、つるつるピカピカした加工がされています。これ、洋食店のメニューを意識してデザインされたそうなのです。うーん、すごい。
(築地亜希乃さんコメント)
表紙を考えるときには物語を自分の中で膨らませて作っています。
今回ですと「素敵な店内で、席につき、真っ白でピカピカのメニューをめくれば美味しそうな物語(ごちそう)が勢揃い!」というシーンを想像して作りました。
※※※
今回の表紙の世界はここまで。
どの本もカバーの下に素敵な表紙が隠れているので、ぜひ覗いてみてください。
それではまた~
(文芸編集部:森潤也)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?