まわり道 5
***
カウンセラーの先生は優しかった。
学校に行けないあなたは悪くない
と言ってくれた。
でも、なんで学校にいけないのかは
聞かないでいてくれた。
いじめられたわけじゃない。
心底学校が嫌なわけではない。
どうしてなんだろう?
「あなたは……大人になるのが怖かったりする?」
「え……!」
大人になるのが怖い……
言い当てられて、どきりと胸を打つ。
このまま、一年、2年と過ぎ、いずれ卒業して、年齢を重ねていき、大人になって。
遠い昔の誰かが引いたレールに敷かれている。
金太郎飴みたいに
量産系の無個性な大人になっていく。
それが、普通の幸せなんだよ。
なんて、誰が言ったんだろう?
氷が溶けるように
答えが解けた。
学校に行けなくなった理由
これだった。
型にはめられた大人になるのが嫌だったんだ。
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