まわり道 終

先生が家に来た。

「久しぶり」
「オヒサシブリデス」

なぜか棒読みになってしまう。
気まずい。
隣にはお母さんがいる

「今日は、ね、ちょっと辛い宣告をしに来たの」
「まさか」

「休学、しませんか?」

「休学……」

退学ではなく休学。

お母さんは、フッと息をつく。

「あなたは成績は悪くなかったし、学校での態度もさして問題はなかった。だからこそ、今、つまづいてしまったことが何かの糧になればという、先生達の判断です」

「はい」

「少し回り道をして、あなたなりにゆっくり大人になっていく、というのも、悪くはないんじゃないかな?」
「まわりみち……」
「きっとあなたは、周りの人よりゆっくり大人になって行ったほうがいいと思うの」

まわり道してゆっくり大人になる

「まわり道をしたらね、人よりもいろんなものが見れるよ。貴重な若い時期にはこうして立ち止まったり、違う景色を見るのもいい経験になると思うわ」
「はい」
隣で,お母さんは泣いていた。
ごめん。と、心の中でつぶやいた。
私は、普通にすらなれなかったよ。

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