営業マンとコーヒーと猫、どれかの話2
僕はこの場を借りて懺悔をしようと思う。
はなを拾って約4ヶ月、僕は相変わらず営業マンであちこち飛び込み営業をする日々を送っていた。
相変わらず成績はあまり上がらず、大手の営業先ではそこにいない上司に対する愚痴を聞かされ、右から左に聞き流せない僕はただただ辛かった。小さくても話を聞いてくれて、そして仕事を任せてくれるお客さんが好きだった。
ある日の昼下がり、大阪の住之江公園の辺りで営業をして、広い道路から2本ばかり奥まった道を歩いていた。回りには畑や民家。少し離れると寂れた商業施設があった。
1人で営業するのもいつもは気楽でいいや、と思っていたが、その日はやたらとしんどかった。
確か晴れていて少し暑かった。時間は昼2時頃だったと思う。
「みゃおー」
ん?空耳かな?と思った。
「みゃーおー」
確かに聞こえた。見渡しても何も見当たらない。声のしたほうに行ってみた。すると…。
いた。道路の側溝に。横は畑か何かで少し下にあるその側溝に段ボール箱に入った子猫がいた。
近くで見ると、白黒で元気に鳴いていたが、眼はガチガチに目やにで固まっていた。
まずい。また出会ってしまった。何とかしないと、と思い、箱を拾いあげて近くの動物病院を探した。
一軒見つかり、連れて行ったが休診中で、無人。ますますまずい。今の家には、はな一匹だと寂しいだろうと思い、もう一匹猫を迎えていた。やばい、三匹目はさすがに飼えない。
途方に暮れて、どうしようかとトボトボ歩いていると、僕の目の前に、社会福祉法人の作業所が現れた。
建物の中からは賑やかな声が聞こえてくる。沢山の人がいるんだろう。そこで僕は、、、ここなら、と思い、作業所入り口の横の植え込みに段ボール箱を置いたのだ。
その間も子猫は鳴いていた。
僕は、ただその場を足早に離れながら、「ごめんな、飼えなくて」と心の中で子猫に謝った。そして、社会福祉法人の方、本当に申し訳ありませんでした。
あれだけ元気に鳴いていたから、多分気付いてもらっていると思うのだけど。そして、あの社会福祉法人の看板猫になっていると勝手に想像しているのだけど。
だけど、やっぱりいまだに置いてきた事、拾ってあげられなかった事を後悔している。
捨て猫と出会ったら、それは運命である。
そうそう出会うものではないし、自分の前に突如として現れる、そういう感覚だから。
「ごめんな、今も誰かと幸せに暮らしてるよね」
そう願わずにはいられないし、これからも忘れる事はない。僕は捨て猫を拾う資格無しと運命に見放されたのか(はわからないが)、あれから一度も捨て猫に出会えていない。
よろしければサポートお願い致します。頂きましたサポートは、うちの猫達の食事代として大切に使わせて頂きます(^o^)