読書1『沈黙の春』1976年アメリカで出版
1976年にアメリカで出版され半年で50万分以上売れたベストセラーの「沈黙の春」という農薬などの化学薬品による環境破壊を大量の事実に基づいて書かれた本を読了しましたので感想などを書きたいと思います。
原著者のレイチェル・カーソンさんは1960年代に環境問題を告発した女性生物学者です。特にDDTなどの農薬による環境破壊を取り上げておられます。化学薬品は人間の生活を計り知れないほど便利にした一方で自然の均衡を破壊していることを述べておられます。
この本のすごいところは徹底的に事実に基づいていることです。自然を愛する方から聞いたこと、広範囲で長い時間をかけて調査した結果から聞いたことがたくさん書いてあります。例えば、湖の近くの自宅で毎年春の訪れを鳥のさえずりや草木が芽吹くことで感じていたが、農薬により鳥もどんどん減少していき、草木も元気がなくなっていったとか、ある連なる山脈を一日中歩いて大型の鳥を調査していた方が、農薬の散布により年々鳥が減少していき一日歩いてようやく1羽見つけられるぐらいに減少してしまったなどです。
大学構内で、毎年ある種類の鳥が子育てのために飛来していたのが農薬散布により不妊や生殖器の異常・縮小が世代を超えて広がっていき、ついには飛来しなくなったということも書いてありました。
川付近で農薬を散布した地域の調査で、上流側40kmのところでその農薬の成分が検出されたと書かれていました。自然は目に見える循環だけでなく、全てがつながっていて人間が短絡的に目先の利益を求めて自然が破壊されていき、春の訪れを告げる動植物がどんどんいなくなり「春が沈黙していく」と私は本を読んで感じました。
あとがきで翻訳者である日本人の方が、戦後の東京駅では公衆衛生が発達していなかったせいで散布していたそうです。それにより感染症が減少したという農薬の"メリット"はあるにはあるが、世代を超えて環境破壊を残してよいのか疑問だとのことです。
農薬の散布で特定の種は根絶できますが、その種に捕食されていた生物は繁栄してしまうように結局はいたちごっこになってしまいます。
食べ過ぎや飲み過ぎ、特定のものを食べ続けてしまうことでもカラダの均衡が破壊され、アトピーなどの症状が出てきてしまうのもうなづけます。
とても参考になりましたが、あまりにも実例が多く事細かな描写であったため、読むのが結構大変でした。しかしとてもおすすめの本です。
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