時折
あなたが時折考えるような表情で言葉を発さないのは、あの子のことを考えているからでしょうか。今隣にいる私よりも、あの時隣にいたあの子の方がまだあなたの中に大きく残っているのでしょうか。
私は最近、柄にも無く失恋ソングを聞いて寝ます。あまりにも毎日あなたの事で、あなたの横で辛くなってしまうものですから。全く赤の他人の共感者が欲しいだけなのかもしれません。
あなたから聞くあの子の話はどれも耳心地の良いものばかりでした。会ったことはないですが、きっと本当に良い子なのでしょう。あなたがそんなに愛してやまないほどなのですから。
私があなたに期待してしまわないように、できるだけ言葉の節々で保険をかけているような表現をします。私に言い聞かせるように。そのたんびにあの子のことを思い出すのです。あなたの心の中にいるあの子のことを。
あなたと深い話をすると、時々食い違いが起きます。辛い時は一緒に泣いてくれたら嬉しいよね、とあなたは言っていました。その言葉の裏にあの子との想い出が透けて見えて、吐き気が止まりませんでした。
時折考えるのです。あなたが私を上手に諦めさせてくれたら、と。目が合うだけで泣きそうになるような恋は望んでいません。幸せで包まれたような、あの子のような恋をしたいのです。あなたとあの子のような。
近いうちにあなたの中にいる少しだけの私が、消えます。あなたは時折でも考えてくれるでしょうか。せめてもの願いです。