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星野源さんによるSNSファン活動への言及に感動したので、著作権について調べてみた

私は今まで、実在人物に関するファンダムにSNSで参加するのが非常に苦手でした。有名人の写真やテレビ番組のスクリーンショット・動画がRTで沢山流れてくるからです(※1)。これらは明らかに著作権・肖像権の侵害であり、私はこれらを「クリエイターたちの権利を侵害する行為」だと感じます。

ところが、最近ドラマ「MIU 404」にムチャクチャな速度で沼落ちし、ハチャメチャな勢いでファンアートを描くようになってから、この界隈ではそういった投稿やRTがきわめて少ないと感じ(※2)、これまでにない心地よさを感じています。
人のことを十把一絡げにしてクラスタ扱いするのは嫌いですが、「界隈の治安が、なんか、とってもよい…!」みたいな雑な感動をしております。

※1…無論アニメや漫画でも頻繁に起こっていますが、今回は主にSNSにおける肖像権を中心とした話なので割愛します
※2…あくまで私が今まで通ってきたジャンルとの比較です。私が活動しているのが主に番組公式で設けられたハッシュタグであるため、余計にマナーが重視されているという側面もあるかもしれません


なぜアーティストが違法行為にはっきりNOと言いづらいか

このようなマナーのよさは、「MIU 404」の出演者である星野源さんご本人が、かつてラジオにて「SNSで写真が使われるのが嫌」とSNSマナーに言及されたことがあるからだそうです。

私は実際のラジオを聞いておらず、こちらの記事を読んだだけですが、星野さんがあくまで「『自分』は嫌だ」と主語をはっきりさせたうえで法律違反まで触れていることに非常に感激しました。下記、記事からの引用です。

”『みんなやってるからダメじゃない』みたいになってるけど、例えばさ、テレビの画面を撮ってアイコンにしたりするって、本当はダメなことなんだよね。法律的にもさ。雑誌を撮って上げるとか、僕らが出したツイッターの画像を上げるとか、本当はダメなことなんだよね“

クリエイターという立場は複雑です。自分の作品を愛してくれているからこそ、自分の写真や作品を悪意なく利用されてしまう事がある。けれど「お客さん」でもあるファンにそれをはっきりと禁止するのは非常に難しい事なのです。
星野さんの場合、自分の作品そのものだけでなく、一緒に仕事をしているスタッフやクリエイターの仲間たちにもリスペクトがあったから、このような発言があったのではないか……と、私は勝手に想像しています。作品づくりをする人たちの苦労は、同じく作品作りをする人が一番わかっていると思うので。
そしてファンの方々に対する「話せばわかってもらえる」という信頼の厚さも伺えます。推しに信頼されるファンダム、とてもすごい…!

当然、尊重されるべきは星野さんだけじゃありません。自分の大好きなクリエイターやパフォーマーに関し、作品だけでなく彼ら彼女らの生活、権利、制作環境、裏方のスタッフさん等を守れるよう、ちょっとだけでいいので著作権について勉強してみませんか。少しずつでもいいので、下記で紹介させていただく記事を是非読んでみてください。

そんなの疲れるって? いいじゃない! 推しのために頑張って疲れましょ(日常生活であんまり疲れてないときにね)。

会社やコンテンツごとにルールが設けられている場合もある

全体を幅広く学ぶよりも、まず先に例外から挙げてみましょう。
事務所やアーティストによっては独自のガイドラインを設けている場合があります。

株式会社LDH JAPANでは、独自に制定されているSNSルールがあります。基本的に法律に準じたものですが、例外的に公式の宣材写真やCDジャケットをSNSアイコンにすることだけは許可されています。ファンの気持ちを汲んだことは勿論ですが、宣伝にもつながる行為として一部規制を緩めているいい例かと思われます。

※前述の通り公式の写真等が使用OKなのはLDH社のルールであるため、上記レギュレーションは他のアーティスト・クリエイターにはあてはまりません。しかし肖像権・著作権についてとてもわかりやすくまとまっているので、リンク先を是非ご一読ください。

無断転載の言い訳によく「宣伝になるから」という言葉が使われますが、依頼されたわけでもない法律違反を宣伝と言い張るのは、運営側に対する迷惑行為に他なりません。
LDH社のように運営がルールが設けているのは、日本ではまだ稀な例です。現状このような独自のレギュレーションは少なく、当然ですが国の法律がルールとなります。ファンダム内だけのローカルルールや暗黙の了解は鵜呑みにせず、まずは法律を調べることが重要です。

(もし他の事務所等でSNS運用等独自のレギュレーションが定められているものがあればコメント等で教えていただえると大変うれしいです。)

「引用」としての転載ならば「無断転載」ではない

例外の二つ目です。大学等で論文を書いたことがある方はご存知かと思いますが、「引用」という方法もあります。インターネット上では解釈が難しい場合もありますが、近年は随分研究が進んでる分野かとも思います。
引用を正しく使えるようになると推しのプレゼンがしやすくなったりもしますので、布教のためにはぜひ知っておきたいですね。

▲歌詞だけではなく画像などの引用作法にも触れられており、とても勉強になる記事です。「各SNS の埋め込み機能」は本当に便利なので、各メディアの皆さまにおかれましてはサイコーの画像をOGPに設定していただけますと大変嬉しく思います。

▲スポーツを例にしていますが、テレビやソフトの動画はすべて同じだと思います。現状、放送物のスクショを引用とするのはかなり難しいようです。

そもそも著作権とは何なのか

まずはSNSでうっかり違法をしないよう身近な話題から先に記述しましたが、そもそも著作権とは何なのか? 何を守るためにあり、どういう効果があるのか? というところまで知っておけば、この先ファンダム活動以外のシーンでも充分役に立つでしょう。
私は専門家でも何でもないので、この機会にわかりやすい記事を探してみました。

▲著作権の役割について、判例を紹介しながら対談形式でわかりやすくまとめられています(全4回)。広告も著作物である事は意外に気づかれていなかったりしますね…。CM等の動画はSNSにアップロードせず、公式youtubeへのリンク等が適切です。

ずばりファンダム活動のための記事がつい最近アップされたようです。ありがたい。かなり長いのでまだ読み途中ですが、非常に細かい部分まで網羅されています。推しを守るためにはこれくらい気合い入れたいところですね。

リツイートだけでも違法になりうる

ちょっと話は逸れますが、自分で違法アップロードをしなくても、RTだけで違法と判断された例も参考として置いておきます。

私はちょっとした画像ツイート等に関しても、RT前に必ずHOMEを確認してスパムや無断転載ではないかチェックするようにしています。しかしわざとわかりにくくしているアカウントもあり、どんなに気を付けても完全には対処できていません。

それでも、既にこのような判例が出ているからには、今後も何かを軽い気持ちでRTしただけで訴えられる可能性があるということを覚えておこうと思います。

デマをうっかり信じないための対策は、ソース不明瞭なツイートは絶対にRTしないこと、また、下記のようなファクトチェックを行っているアカウントをフォローしておく等が挙げられます。

■ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)
https://twitter.com/FIJ_factcheck
ネット上の情報検証まとめ
https://twitter.com/jishin_dema

訂正information
https://twitter.com/teiseiinfo

ネットロアをめぐる冒険
https://twitter.com/netlorechase

私は「かわいいペット大集合!」「癒される画像bot」のような画像転載アカウントがもの凄く嫌いなので、怪しいツイートはHOMEを確認し、明らかな転載アカウントは極力ブロック・報告をするようにしています。
それでも、疲れているときはたまに確認せずRTしてしまう事も全く無くはありません。その際は黙ってRTを解除するのではなく、「先程RTした●●についての記事はデマ/パクツイ/無断転載でした」とフォロワーにデマやパクツイであったことを知らせます。
また、デマの場合は極力情報ソースを探してきてツイートするようにしています。フォロワーがデマを信じたまま拡散してしまったら、それは自分の責任になってしまうので…。


終わりに

本記事を作成したきっかけは星野源さんの発言に感動したからですが、私はつねづね自分の「好き」という気持ちよりも、すべてのクリエイターの人権(我々と同じ、ひとりの人間としての権利)のほうが絶対的に大切だと思っています。人権の中にはもちろん著作権や肖像権も含まれている。
推しが「やめてほしい」と言っている事を知らずにやってしまうのは、推しに迷惑をかけると同時に、後になってから気づいた「自分」にとっても大変なショックになります。
なので、私が著作権を遵守しようと思う理由は、推しのためというよりもなるべく自分がショックを受けないようにしたいという想いのほうが大きいです。偉そうに「推しを守る」だなんて書いたばかりなのにね……。
しかし、知識が身を守るという事は自分にだけ当てはまるものではないとも思っています。

何かを好きだという気持ちが膨らみすぎてそわそわしている方、まずは鉛筆を握りましょう。星野さんの言う通り、下手とかどうとかは関係なく、そのパッションを絵や文字にぶつけてみてください。別に鉛筆じゃなくていい、他にも手芸、ネイル、再現レシピ、フィギュア作成、お習字など、前述の権利に考慮さえすれば、「好き」という気持ちはいろいろな形でアウトプットが可能です。そしてあなたの「作品」として残ります。
スマホに保存した推しの写真をSNSにアップするだけでは得られない楽しさが、どうかあなたにも見つかりますように。

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