【PubMedで翻訳練習】Kの巻:kangaroo mother care(カンガルーマザーケア)
*PubMedでアルファベット順(A-Z)にキーワード検索→論文を1つ選びアブストラクトを和訳。(キーワード・論文の選択は、独断と偏見、その日の気分です。)
●本日のアルファベット:k (kangaroo mother care) カンガルーマザーケア
●本日の論文:『出生直後に開始した継続的カンガルーマザーケア (iKMC) の、出生時体重1.0~1.8kgの新生児の生存に対する影響:ランダム化比較試験のための治験実施計画書』
WHO Immediate KMC Study Group. "Impact of continuous Kangaroo Mother Care initiated immediately after birth (iKMC) on survival of newborns with birth weight between 1.0 to < 1.8 kg: study protocol for a randomized controlled trial." Trials. 2020;21(1):280. PMID: 32188485
●アブストラクト和訳
背景:早産や子宮内胎児発育遅延の結果、世界中で新生児の約15%が低出生体重で生まれる。新生児死亡のうち最大70%が、このような群で誕生後3日以内に起こっている。新生児の安定後のカンガルーマザーケア(KMC)は、入院中の2.0kg未満の新生児の死亡率を40%減少させることが示されている。これらの試験では、新生児はランダムに割り付けられ、KMCは新生児死亡の大部分がすでに起こってしまっている生後約3日に開始された。本試験の目的は、出生時体重1.0kgから1.8kg未満の新生児において、誕生後できるだけ早期に開始する継続的KMCの安全性および有効性を、現行の推奨である新生児が安定後に開始する継続的KMCと比較して、評価することである。
方法:本ランダム化比較試験は、南アジアおよびサハラ以南のアフリカにおける、5つの低中所得国の専門治療病院で実施される。これらの病院に出産のため入院した妊婦は全員、事前スクリーニングを受ける。また出産後、出生時体重1.0kgから1.8kg未満の新生児は全員、登録のためのスクリーニングを受ける。適格新生児は、介入群およびコントロール群にランダムに割り付けられる。介入は、誕生後できるだけ早期に開始する継続的スキンシップ、早期の完全母乳保育の推進および支援、母親と新生児をできるだけ離さず行うヘルスケアの提供、からなる。本有効性試験では、誕生直後に開始したKMCの新生児死亡(登録から生後72時間まで、および登録から生後28日まで)に与える影響、およびその他の重要な転帰を主に評価する。
考察:本試験は、低中所得国における出生直後のKMCを検討する初めての大規模多国間試験である。本介入の実施は、母親が新生児集中治療室に入った新生児と離されていない場合の低中所得国においては、すでに重要なパラダイムシフトを実現している。本試験の結果は、低出生体重の新生児を誕生直後にどのようにケアするかのみでなく、母-新生児集中治療室モデルに従った新生児集中治療室のデザインの普及に対して、今後世界に示唆を与えるであろう。
●PMID: 32188485
●検索日:2020年6月28日
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●感想・難しかった点
カンガルーマザーケアというかわいいネーミングに惹かれてキーワードを選びましたが、WHOのstudy groupが論文を出すほど注目のケアなんですね。医療技術がどんどん発達する中、母と子のスキンシップが死亡率を減らすために非常に重要という事実に、原点を見た気がしました。
翻訳に関しては、アブストラクトのせいか、大変略語が多かったので、頻出しない語は、自分の判断で略語にしませんでした。内容理解の助けになれば幸いです^^