初めてオンラインで学会に参加した話
先日、初めてオンラインで学会に参加しました。
これまでも、無料のシンポジウムや講演会などは、オンラインで参加したことがありましたが、ちゃんとお金を払って、事前に抄録集を読み込んで、2日間がっつり参加したのは初めてです。
今回参加したのは、『第36回日本DDS学会学術集会』。
(DDSは、ドラッグデリバリーシステム:drug delivery systemの略で、体内での薬物分布を制御することで、薬物の効果を最大限に高め、副作用を最小限に抑えることを目的とした技術を指します。)
私はDDSの専門家でも何でもないのですが、以前からオンラインの学会に興味があり、参加してみたいなぁと思っていたところ、たまたまこの学会のオンライン開催を知りました。
参加の決め手は、大会長 武田真莉子先生の
新型コロナウイルス感染症に脅かされている困難な状況であるからこそ、
それに屈しない、新しい時代にフィットした学会発表の場となることを
心から願っております。
という心意気に賛同したのと、超有名な中村 祐輔先生が特別講演をされることでした。しごくミーハーな理由です。
今回の学会は、オンラインのみでなく、オンサイト会場でも実施されましたので、ミーハーな私は、中村 祐輔先生に会ってみたいなぁ、現地に行こうかな~とも思ったのですが、オンサイト会場の参加申し込みは、密を避けるため人数を制限されていて、気が付いた時には締め切られていました(;^_^A
(実際は、中村先生はオンサイトではなく中継でのご講演でしたが、素晴らしかったです!)
というわけで、オンラインでの学会参加となりましたが、最近の、学会に限らず様々なイベントがオンライン開催される傾向、大変ありがたく感じています。もちろん現地で様々な人と実際に会って、交流をする価値は他に代えがたいですが、企業や大学に所属していて、出張費が出る人ならまだしも、私のように個人でやっている者には、現地へ行く交通費がバカになりません。
参加費だけでもヒーヒー言ってるのに、交通費までは到底出せず、遠方での学会はいつも諦めていました。ですが、学会って順番のように、全国各地で開催されるんですよねぇ。地方で開催することによって、学会特需のようなものも、ある程度あるのでしょう。しかし、昨今のオンライン開催によって、これまで諦めていたイベントに全国の人が参加できるのは、大変な変革だと思います。
何年先になるか分かりませんが、このコロナ渦が落ち着いた後も、オンライン開催を完全にはなくさないで欲しいなぁと思いました。今回の学会のように、オンライン、オンサイト両方での開催によって、参加層が大幅に広がると思います。確かに、両方で開催するのは大変な苦労だとお察ししますが、そこを何とか、よろしくお願い致します(誰にお願いしてるんだ?)。
というわけで、実際に参加してみて、オンライン学会のメリット・デメリットを私なりにまとめてみました。学会に限らず、他のオンライン・イベントにもある程度当てはまるのではないかと思います。
オンライン学会のメリット
①どこにいても参加できる
日本に限らず、世界中から参加できます。
逆に、日本にいながら、世界中の学会に参加できます。
②参加費用が抑えられる
交通費・宿泊費・食費などがかかりません。
③拘束時間が短縮できる
移動時間、付き合いで参加する交流会などの時間が不要となります。
また、聴きたい口演がない時間には、他のことをすることもできます。
④疲労度が低い
学会会場までの移動、開催中の会場間の移動が不要で、
疲れてしまったら、部屋で昼寝することもできますし、
聴いてみたら、自分の興味とは違った、という場合は
遠慮なくスキップして休憩できます。
⑤より多くの口演が聴ける
会場が離れているなどの理由で、聴くことが難しかった口演も
同一時間でない限り、聴くことができます。
たとえ同一時間であったとしても、
スイッチして部分的に聴くこともできます。
オンライン学会のデメリット
①交流が少ない
これが一番のデメリットでしょう。
口演の合間の世間話に始まり、
学会後の交流会などでの顔を合わせての交流は、
オンサイトでないとできません。
②先生同士の協働や、企業との商談が成立しづらい
①にも関係しますが、学会がきっかけで、
「先生、今度一緒にこの研究やりましょう!」という話に発展したり、
企業ブースで実際に製品を見て商談成立ということが困難です。
企業にとっては、学会は情報収集以上に、
日頃お世話になっている先生や、今後関係を持ちたいと思っている先生への
挨拶回りの意味も強いので、これは困りますね。
③インフラの整備が必要
徐々にオンライン・イベント開催のノウハウが
蓄積されてきているとは思いますが、
当面の間は、試行錯誤が必要でしょう。
他にもいろいろあるかと思いますが、現時点で思いつく主要なものは以上です。メリット、デメリットを勘案して、オンラインとオンサイトをうまく組み合わせていくことができるといいですね。
学会の内容の詳細に触れるのは、この記事の趣旨ではありませんので、割愛しますが、言いたかったのは、オンラインでの学会参加、なかなかおもろい経験やったよ、ということと、この困難な状況の中、諦めずにオンラインで学会を開催してくださった方々に、心から感謝します、ということです。
講演された先生方も口々に、この状況下での開催を決行された、大会長の武田先生はじめスタッフの方々への感謝の意を表されていたのが印象深く、感動的ですらありました。
みなさんも、機会があればぜひ体験してみてください^^