田舎じょうようまんじゅう美味し!
「田舎じょうようまんじゅう美味し!」
午後から、外回りに出かけたのだけれど、なんと言っても腰が痛い。
一歩を踏み出すたびに痛い。
しかし、痛そうなそぶりを見せるのはいやだ。
空を見上げると、背骨の曲がり加減が良いのか痛みが少ないので、空を見上げて、胸を張って歩いていた。
内実はともかく、見てくれだけは元気が良さそうに見えたかもしれない。
外回りの帰りに、いつもの和菓子屋さんに寄って「上用饅頭」を買った。
この時期の目玉は、なんと言っても、サツマイモをあんこに混ぜたやつ。
超美味いのだ。
その饅頭の隣にあった、かぼちゃのやつも買った。
その隣の、小さなショーケースには、難しい漢字を書く饅頭があった。
「薯蕷饅頭」
これなんて読むの、と尋ねると、職人のご主人が、「じょうようまんじゅう」と答えてくれた。
「上用饅頭」じゃなくて「薯蕷饅頭」。
「薯」だから、芋だよね。それも「じねんじょ」。
話を聴くと、自然薯を、ご主人自らが、手ですり下ろして、皮を作るのだという。
米、じねんじょ、さつまいも、かぼちゃ、ぜんぶ、地元の畑で育った米と野菜だ。
もっちりとした皮の中に、上品な甘さと野菜の香りが包まれている。
京菓子のような華やかさはないし、東京のお菓子のような甘さもない。
この田舎でしか食べられないし、たぶん、というよりも、間違いなく、この田舎で食べないと美味くない。
「風味」を味わう饅頭だ。
それに、田舎の水も野菜も、エネルギーが強いので、都会の水と野菜で育った人が食べると、お腹を壊すかもしれない。
こういう一瞬は、田舎に生まれて育って、田舎に住んでいることのラッキーさを実感できる。
当然、季節のものなので、芋が収穫できなくなれば終了。
終了する、ということは、雪が降ることを意味している。
来年も、この饅頭が食べられるといいな。
来年のことを話すと、鬼に笑われるかな。
笑われてもいいのさ。