カロル・シマノフスキ ポーランド民謡の主題による変奏曲 作品10
「カロル・シマノフスキ ポーランド民謡の主題による変奏曲 作品10」
今回弾いた曲は、シマノフスキさんの「ポーランド民謡の主題による変奏曲 作品10」。
シマノフスキさんの曲は、気合を入れないと弾けないので、気合が入らない時は弾けない。
そして、弾き始めると、次第に気合いが入ってくる。
前回、ニールセンさんの難しい曲を弾いて、その勢いで弾いた、というところ。
時期的にも、11月〜12月は、僕には、シマノフスキさんが合っている。
さて。
ニールセンさんの曲は、シューマンさんやブラームスさんの、ドイツ・ロマン派の血を引き継いでいる。
これに対して、シマノフスキさんの曲は、ショパンさんやリストさんの音楽の血を引き継いでいる。
ニールセンさんの曲は、和音進行なのに対して、シマノフスキさんの曲は、分散和音の上にメロディが乗っかる形だ。
さて。
今回弾いた曲は、「ポーランド民謡の主題による変奏曲 作品10」。
大曲だ。
曲の冒頭には、前奏、つまり、前奏曲が置かれている。
ついで、主題が奏でられる。ポーランド民謡かと思われる、哀愁を帯びた、抒情的な、素敵なメロディだ。
この前奏曲と主題は、なにか、映画音楽のような風情がある。僕には荷が重い。
変奏の数は10。どれも見事な変奏だ。
第10変奏は、ぜんぶで20ページある楽譜の中の、実に8ページを占める。巨大な楽章だ。
第10変奏は、ひじょうに拡張されたソナタ、という雰囲気で、もしかすると、ソナタか、幻想曲か、なにか、独立した曲として書き始めて、そして、変奏曲に編入した、というところかもしれない。
第10変奏の演奏を進めていて、変奏はそろそろ終わりかな、と思ったところで、長大なトリルが始まって、そのあとで、なんと、フーガが始まった。
最後は、長いトリルの果てに、なんだか、わけがわからない感じになって、壮大なトゥッティで、長大な変奏曲の幕を下ろす。
いや、もしかすると、この第10変奏は、シマノフスキさんは、オーケストラ用に書いていたんじゃないか、と思ってしまう。
曲は、全体的に、ショパンさん的なところ、リストさん的なところ、ドイツ・ロマン派的なところ、フランス印象派的なところ、スクリャービンさん的なところ、などなどが詰まっているように思う。シマノフスキさんの研究の成果を盛り込んだ、というところかと思う。
演奏には苦労した。シマノフスキさんの曲は、だいたい、例外なく苦労する。
巨大なデータのために動作が緩慢になったLogicのピアノロールで、トリルの一粒一粒に、テンポをつけて、Velocityをつけて、という作業を、丁寧に行なっていたので、とにかく時間はかかるし、疲れるし、という状況になっていた。だいたい、テンポの値をひとつ変えると、処理が終わるまで2〜3秒かかる。
それでも、初見の初弾の初聴の一回弾きで、曲を破綻させることなく、それなりに鳴らすことができた。いや、長足の進歩と言っていい。えらいぞ、ぽん太さん。
いや、おつかれさまでした。
この曲に絵をつけてみたい、と思ったりしたのだけれど、「音の絵」ではなく、人が演技するフィルムになる感じがする。
ポーランドの街角のカフェで物語が展開する。いや、パリかもしれない。
きらきらした分散和音のなんと美しいことか。ラヴェルさんの音楽みたいだ。
今回、Aiffファイルに書き出しをしたところ、ファイルサイズが大きいということで、Logicの判断で、cafファイルで書き出された。このcafファイルは、僕は初めてだったので、いろいろと勉強になった。
最後になってしまったが、この曲では、愛機ベーゼンドルファー280VCの性能と、美しい音が遺憾なく発揮された、という印象がある。
シマノフスキさん、素敵な、すばらしい曲を書いて、残してくださって、ありがとうございました。
ベーゼンドルファーさん、素敵な、すばらしいピアノを世に出してくださって、ありがとうございました。
VIENNAのみなさんも、ありがとうございました。
カロル・シマノフスキ ポーランド民謡の主題による変奏曲 作品10
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