京都「美濃吉本店 竹茂楼」 〜王道の京料理を学ぶ〜
コロナ禍中の先年、祇園祭の時期に、弾丸ツアーで京都へ。
感染対策もあり、贅沢だけど料亭「美濃吉本店 竹茂楼」の個室をリザーブ。
鱧寿司、丸仕立の椀物、鱧落し・・・と、季節感に溢れた王道の京料理を堪能した。
京都に行くとついつい目新しい料理を求めがちだけど、今回は王道の京料理を再発見。
ガツ〜ンというより、しみじみとおいしい。
旨さと目新しさばかりの追求は、中年になって楽しくなくなった。
不易流行。伝統の重みのなかに、イノベーションを感じるようなスタンダードが好き。料理も、生き方も。
何か一つが突出しない、味と接客としつらいのハーモニーは、大人になって楽しめるようになった、かな。
先付に添えられた「蘇民将来子孫也」の短冊は、祇園祭に由来する疫病退散の護符。
先付
祭り鱧寿司
車海老酒盗焼
マスカット白和え
添え 糸うりそうめん
椀物
丸仕立
すっぽん葱真蒸
冬瓜 つゆ
向付
淡路産 鱧落し
縞鯵
岩魚の洗い
あしらい
酢味噌 土佐醤油
祇園祭は鱧祭り。
料亭だけあって、鱧寿司、鱧落し(湯引き)と王道の京料理を堪能。
鱧落しを、生まれて初めて旨いと思った。鱧落しより炙りや焼き霜つくり(炙った鱧を氷で締めた料理)の方が好きだったが、さっぱりと脂の抜けた落しの旨いこと!
落しといえば梅肉だが、竹茂楼では酢味噌で頂く。京都では酢味噌も上品。鱧の持ち味を引き立ててくれる。
お造りに続いては、進肴。
鱧すきは淡路の郷土料理。女将の出身が淡路だからという。
個室に板前さんが来て、目の前での調理。料亭の醍醐味である。
サービスパーソン(仲居さん)のホスピタリティあふれる接客に、舌だけでなく心もほぐれてくるというものだ。
進肴
すきやき
鱧
玉葱 クレソン 黒七味
焼物
鮎塩焼
蓼酢
強肴
賀茂茄子
うに
枝豆 すっぽんジュレ
会席の〆は、ご飯と漬物。
土鍋で炊き立てのご飯が絶品。
そして土用ということで、鰻の蒲焼が登場。
竹茂楼は川魚料理の老舗。鰻の蒲焼はスペシャリテなのである。
京都では、なぜか鰻は関東風が多い。関東風ながら、蒸しが著しく風味が損なわれることはない。川魚料理の老舗の矜持である。
実山椒のアクセントも秀逸。うまいのなんの!
合いの手の漬物も見事。全て旨いが、水茄子が白眉だった。
食後、サービスパーソン(仲居さん)に案内頂き、別棟の合掌館を案内頂いた。
合掌館は、富山県越中五箇山から移築したという。
歳月を経た本物の迫力。いつか仲間を集って、合掌館で食事をしたらさぞ楽しいことだろう。
帰りは、調理長をはじめスタッフの方々にお見送り頂いた。
京料理の王道を勉強する、得難い機会だった。
王道は過去の追随だけではない。王道は日々新しく、進化しつづけているのである。
御飯
土用の丑
名物 鰻かば焼
香物
水茄子 胡瓜
牛蒡奈良漬
果物
夕張メロン
小豆 抹茶グラニテ
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