自分が社会に向けて時間とポリシーを注ぎたいと思えること

#この仕事を選んだわけ

12歳の時、実家の新築がきっかけで、「住宅」というものに興味を持った。

毎日、母の横で間取り図を眺め、「私にも図面を書かせてほしい」とねだって困らせた。今なら母の気持ちもよくわかるが、「私にも書けるのに」と本気で悔しかった。住宅の工法やハウジング雑誌を図書館で借りて読み漁り、ショールームについていったり、壁紙の見本帳をめくったりして、初めて持つ自分の部屋のカーテンと壁紙を選んだ。

それから10年後、自分の部屋に選んだカーテンと壁紙の内装メーカーに就職した。就活は、まぁ色々あった。当時、住宅・建築・インテリア業界といえば今よりずっと男性社会で、女性であることに悲観もした。住宅展示場でのアルバイトでは、唯一の女性社員に「本当に善意で言うけどやめたほうがいいと思うよ」と言われ、弱腰で別業界に進むことも考えた。

それがどうしたわけか、20年後の今もその会社で働いている。結婚し、子ども2人にも恵まれた。

バリキャリを目指すつもりほどの気概もなく、結婚したらいずれ育児に専念すると思っていたので、この10年間の時代の変化の真っ只中にいるのを体感する。

インテリアコーディネーターになりたいという学生時代頃の夢は叶えた。

その先のミッションがもやで霞んだまま、仕事は時短で何とか納期と戦いながら、4歳と0歳の育児にのまれているのが実状ではあるけれど。それでも一生の好きを仕事にできたのは、大変恵まれている環境だと思う。

今の仕事は、住宅、商業施設、病院、福祉施設、学校、宿泊施設・・その全てにおいて、インテリア商材を通じて空間の価値を提供すること。オーナーがいて、その建物を設計する人がいて、材料を手配する人がいて、実際の工事をする人がいて、その空間に住まう人・訪れる人がいて、そのあいだを日々行き来している。

#この仕事を選んだわけ  は、時代がどれほどIT化しても、人を取り囲む空間とハコ(建物)は絶対になくならないし、その空間の居心地は人の心に影響すると信じるから。インスタ映えでもいい。空間がちょっとでも心や暮らしにプラスの影響を与えられたらと思うから、そのほんのお手伝い。自分が社会に向けて時間とポリシーを注ぎたいと思えるのは、唯一そこだから。

もちろん、2人の子供を社会に送り出すためのお金と適正にもらえる休暇のため、というのはさておき。育休復帰を見据えて精進しなければと思う。

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