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もう一度見直したい、割烹着の良さ
私は5年前から愛用しているものがある。
それは「割烹着」
字面を見て古臭さを感じ、特に若い方は敬遠されるかもしれない。
「私には、まだ早いわ。60才過ぎたら着てみるかも……」
なんて、思う方も多いと思う。
実際、私もエプロン売り場に行っても眼中になかった。
そんな私が、どうして割烹着を愛用するようになったのか。
きっかけは、「着衣着火」の怖さを知ってから。
テレビ番組で料理中に服に火が燃え移る事例を取り上げ、怖さを実証しているのを見て震え上がった。
一番、火の周りが早く、あっと言う間に肌が出ている所へ到達するのは「フリース」で、私が身に付けていたのが、まさにそれだった。
フリースはポリエステルで作られており、原材料は石油。毛羽だった生地の上を滑るように燃え広がり、秒で肌へと到達して大事故になる。
言ってみれば、燃料を身に付けて、火の側に立っていたのだ。怖過ぎる……
フリースというのは周知の通り、軽くて暖かい。私の住んでいる北国には生活必需品と言ってもいい。一番、綿が火が点きにくいというが、あまり暖かさは期待出来ない上、重い。
フリースを危険のないように着るにはどうしたらいいか。
料理中に奥のコンロに手を伸ばした時、袖に着火することが多いそうで、だったらアレだと、百均へとダッシュ。手にしたのは「腕ぬき」
農作業や、昔の事務員が袖口に装着していた、アレ。
フリースの上にエプロンと「腕ぬき」を着けて、これで安心と過ごしていたが、ある日、数学者が大発見をする時のように、頭の中で数式が閃いたのである。
『エプロン+腕ぬき=割烹着』
おお、日本には良い物があるではないか!
私の母は冬になると割烹着を着ていた。厚着になる季節は袖口を汚れから守るためだったと思われる。
今度はショッピングセンターへと足を運ぶ。
やっぱり、おばちゃんっぽいのしかないよな。おばちゃんだから、別にいいか……と自虐的な思いを抱え、エプロン売り場に到着して気付いた。
そうか、保育園の先生方が着てるのも割烹着なのだと。
お馴染みの可愛いキャラクターの物が並んでいる。
本当に人って見たいものしか見えていない。こんなに色々と割烹着が売っていることも知らなかった。
可愛いのはもちろん、厚手で防寒機能のある物も売っている。
中にフリースを着るので、大きめで薄手のシンプルな柄の割烹着を購入。
身に付けてみて、素晴らしく機能的で感動が止まらない。
私は撫で肩でエプロンの紐が肩からズレ落ちるのだが、そのストレスからの解放。ゴムの入った袖口をグッと上に上げれば、洗い物の時もズルズル落ちてこなくて快適。もちろん、着衣着火も心配なし。
もっと早く気付けば良かった。
こんな良い物を黙っているのは忍びない。勝手に割烹着推奨委員会(本当にあったら、ごめんなさい)を立ち上げ、台所へ立つ方々へ伝えたい。
是非一度、「割烹着」をお試しあれ。