ポジショニングマップを用いたセルフブランディング#2_中編_能力開発・人材開発への展開
ポジショニングマップを用いて、研究者やエンジニアの人財開発を研究していますポンヌフと申します。前回のnoteでは、ポジショニングマップを用いた商品開発のノウハウについてお伝えしました。今回は、いよいよ能力開発・人材開発への応用についてノウハウを説明いたします。
復習ですが、ポジショニングマップは、商品やサービスの開発において使われる手法の1つです。よく用いられるのは、独立した2つの要素を軸にして、他社製品をマップし、他社製品のないニッチな(競合の少ない(希少性のある)+需要のある)部分に対して製品を展開することによって、競合と差別化した商品を開発するという考え方です。
ポジショニングマップの考え方は、商品開発だけでなく、人材開発(ブランディング)にも活用できます。顧客の需要に対して、他社が展開していない能力を獲得して示していくという点で、商品開発と人材開発は同じなのです。次回は、その具体的なノウハウをご説明いたします。
人材開発のポジショニングマップは2種類ある;①自身が提供するモノやコト/②自分自身
商品開発のポジショニングマップでは、”高価⇔安価”、”個人向け⇔大衆向け”など、購買意欲に関連する軸を2つとることがポイントでしたね。人材開発において購買意欲に相当するのは、①サービス需要(人材が働くベクトルが市場ニーズに合致しているか)と②雇用意欲(その人材を雇用したいと思うか)の2種類です。まず、分かりやすい前者について考えてみましょう。
自分が提供する価値のポジショニングマップ
自分が提供する価値(サービス)について、市場を絞っていきます。例えば絵を描く人やものを作る人であれば、自分の描く絵や作品を、商品のポジショニングマップに対応させて、共通属性・利用者属性・モノの属性などを下の例を参考にして設定します。音楽を例に出しますと、攻撃的(ヘビーメタル・ヒップホップ)⇔静的(ブルース・フォーク)や、メロディアス(メロコア・アカペラ)⇔リズミカル(テクノ・ヒップホップ)などの軸が考えられると思います。こうした自分のアウトプットのポジショニングは、自分自身の分身のような役割を担うのです。
#共通する属性
高価 ⇔ 安価
手軽さ ⇔ 高級感
品質 ⇔ 価格(手軽さ)
トレンド重視 ⇔ コンサバティブ
フォーマル ⇔ カジュアル
個人向け ⇔ 大衆向け
少量生産技巧的(クラフト) ⇔ 大量生産大衆的
#利用者の属性
シニア ⇔ ヤング
女性より ⇔ 男性より
#モノの属性
モダン ⇔ シック
カラフル ⇔ モノクロ
小型 ⇔ 大型
デザイン ⇔ 機能性
おしゃれ ⇔ 庶民的
シンプル ⇔ 多機能
#食品の属性
ジャンキー ⇔ ヘルシー
キレ ⇔ コク
苦味 ⇔ 爽やか
辛い ⇔ 甘い
濃厚(濃い) ⇔ あっさり(薄い)
自分自身のポジショニングマップ
次に自分自身のポジショニングを考えていきます。先程のように、自分のアウトプット能力をベースにして、考えると簡単です。先ほどの音楽の事例であれば、○○(音楽の分野)ミュージシャン/シンガーというように、創作対象のクリエイターとして扱うのが一番簡単な方法です。そのほか、人の評価でよく使われる軸には次のようなモノがあります。
かわいい ⇔ かっこいい
大勢 ⇔ 少人数
大衆向け ⇔ サブカル
努力家 ⇔ 天才肌
親近感がわく ⇔ スピリチュアル
カジュアル ⇔ エレガント
自分思考 ⇔ モテ思考
性格丸い ⇔ 尖っている
活発 ⇔ 静か
サポーター ⇔ リーダー
こだわり ⇔ バラエティー
若者 ⇔ 年配者(年齢軸)
正統 ⇔ 異端
保守的 ⇔ 革新的
研究サービスと研究者のポジショニング
ここまで、一般的な使用方法を考えてきましたが、研究者やエンジニアにおける軸の引き方を考えてみます。いくつか事例を挙げますので、そのほかの良い軸を考えてみて頂けたらと思います。研究分野を絞った上で、下記のような要素で、競合サービスや研究者をマップ化してみて、競合が少なくて、自分の強みが活かせるポジショニングを考えてみましょう。また、マップを広げた上で、主なサービスをマップ化してみて、浸透していない技術やマッチングされるべき技術、3軸目として差別化を図る方法などを考えていくと良いでしょう。
理論 ⇔ 実験
定量 ⇔ 定性
工学(応用) ⇔ 理学(基礎)
in vivo(生体内での) ⇔ in silico(コンピュータでの)
学生向け ⇔ 教員向け
少人数向けのカスタマイズ可能な ⇔ 大人数向けのテンプレート化した
非定型業務 ⇔ 定型業務
企業(向け) ⇔ 大学(向け)
提案型(価値提案型) ⇔ 委託型(課題解決型)