ポジショニングマップを用いたセルフブランディング#1_前編_まずは商品開発を学ぼう
複数の所属でバイオの研究をしているポンヌフと申します。私は、接する人や場面によって、所属と肩書、職業を変えて示すようにしています。カメレオン研究者といった感じでしょうか。このnoteでは、私がブランディングで活用しているポジショニングマップという方法を用いた能力開発・人材開発の方法についてまとめていきます。今回はその前編として、能力開発や人材開発にポジショニングマップを応用していくために、まず基礎となるポジショニングマップの本来の使い方についてご説明します。
ポジショニングマップとは?
そもそもポジショニングマップは、商品やサービスの開発において使われる手法の1つです。よく用いられるのは、独立した2つの要素を軸にして、他社製品をマップし、他社製品のないニッチな(競合の少ない(希少性のある)+需要のある)部分に対して製品を展開することによって、競合と差別化した商品を開発するという考え方です。軸の要素としては、下記のようなものが良く使われます。
#共通する属性
高価 ⇔ 安価
手軽さ ⇔ 高級感
やわらかい ⇔ かたい(はごたえ)
品質 ⇔ 価格(手軽さ)
トレンド重視 ⇔ コンサバティブ
フォーマル ⇔ カジュアル
個人向け ⇔ 大衆向け
少量生産技巧的(クラフト) ⇔ 大量生産大衆的
#利用者の属性
シニア ⇔ ヤング
女性より ⇔ 男性より
#モノの属性
モダン ⇔ シック
カラフル ⇔ モノクロ
小型 ⇔ 大型
デザイン ⇔ 機能性
おしゃれ ⇔ 庶民的
シンプル ⇔ 多機能
#食品の属性
ジャンキー ⇔ ヘルシー
キレ ⇔ コク
苦味 ⇔ 爽やか
辛い ⇔ 甘い
濃厚(濃い) ⇔ あっさり(薄い)
事例については、分かりやすい記事がネット上に多くあるので、そちらを参考にしてください。いくつかリンクを貼っておきます。
ポジショニングマップの軸の引き方
ポジショニングマップの軸の引き方をどう決めるのかは重要です。軸の決め方は、購買意欲に関わる要素を抽出することが必要で、大きく①演繹的方法(営業するターゲット像から、差別化できるポイントを導く方法)と②帰納的方法(差別化できるポイントから、ターゲット像を探索する方法)の2つがあると私は分析しています。少し独自性がある意見で、見解が分かれるかもしれません。より一般的なノウハウを学びたい場合は、専門家が書いている上記のリンクを参考にされた方が良いかもしれません。
①演繹的方法(営業するターゲット像から、差別化できるポイントを導く方法)
1.演繹的方法は、まず営業するターゲット像を設定します。
2.営業したいターゲット像の分析から、見えてくる差別化に必要な要素を軸として設定します。
3.ターゲット像が重視している、あるいは潜在的に重視しているであろうファクターをリストアップし、優先順位を設定します。
4.ピックアップした要素の対義語を設定して、軸にします。
5.優先順位の高い方から2つ、軸を選択してマップを作成し、そこに他社の製品やサービスを配置します。
6.狙いとする領域に製品が多く、差別化を図れない場合は、軸の軸に変えてマップを作り直し、希少性が生まれるまで繰り返します。
このように、演繹的方法は対象に向けて、ぴったりくる+競合の少ないサービスを選び出すために使われます。
②帰納的方法(差別化できるポイントから、ターゲット像を探索する方法)
この方法はやや、統計学的な知識が必要です。
1.帰納的方法は、データマイニングによって、効果的に新しいターゲット像を探索することを狙いとし、まず自社シーズで作りやすい製品や、主要な他社製品について、特性(ポジショニングマップに用いる軸に対応する)ごとの評点をつけます。つまり、製品×特性の行列を作るということです。
2.特徴ごとの製品群のスコアの平均値と、ばらつきの大きさ(SD:標準偏差)を算出します。
3.ばらつきの小さい順に特徴(軸)をソートして、他社製品が均一化している特徴を把握し、差別化できる方向に開発が進められるかを検討します。例えば安価(1)⇔高価(10)の軸において、他社製品の平均±SDが8±1程度に偏っていたら、市場にあるものはすべて高級路線なので、少し安価なものを創るだけでシェアを奪える可能性があるのではないかと仮説を立てます。
4.有望な2軸を選択し、ポジショニングマップを描画し、ニッチなエリアに需要があるかどうか、ターゲット層がどこかを考察します。
このように、帰納的方法は世の中の製品やサービスの分布から、競合の少ない+差別化できるポイントを洗い出し、それに対応する消費者像を考察するときに使われます。演繹的な方法とはアプローチが逆方向であると言えます。
ポジショニングマップを用いた能力開発(後編予告)
ポジショニングマップの考え方は、商品開発だけでなく、人材開発(ブランディング)にも活用できます。顧客の需要に対して、他社が展開していない能力を獲得して示していくという点で、商品開発と人材開発は同じなのです。次回は、その具体的なノウハウをご説明いたします。