不安になる、恐怖のクラシック(閲覧注意)
こんにちは。ポンサオです。
前回のクラシックに興奮し過ぎて逆に情緒不安定になるという記事が有難い事に案外好評でして、
せっかくならクラシックについて語りたいことがあるからまた記事を書いてしまった。
今回の特集はクラシックで
「個人的に怖い曲・不安になる曲」
幼少期からクラシックに馴染みのある私は、
子供の頃一部のクラシックを聴いては不安定な気持ちになったもの。
子供時代って割と子供向けのポップな音楽とか、
クラシックでも優しいものに触れがちだったからこそ
闇のクラシックを聴いた時は戦慄が走った。
でもだからこそ幼少期に強烈なインパクトを植え付けられて、
大人になった今も何度も聴きたくなるのが私の性格。
怖い雰囲気だったり、
幻想的だけどどこかジワジワした恐怖があったり。
スリル満点のホラー映画やホラーゲームにはない、
芸術的で美しいからこそジワジワ心にくる恐怖がある。
今回はそういった面でおすすめの5曲+おまけをご紹介する。
No.1 〜動物の謝肉祭〜水族館/サン=サーンス
「のだめカンタービレ」のドラマでも使われてましたが、この幻想的で不思議な音楽。
暗がりの水の中を漂う魚や、
クラゲたちの様子が思い浮かぶ。
そしてピアノの不協和音のパラパラした音で、
わたしは海や自然への摩訶不思議な感覚、畏怖の念を連想していた。
水族館って本来は楽しいテーマパーク的な思い出があるために、そのギャップに苦しんだことだった。
サン=サーンスが生きていた頃の水族館はさぞかし不安になるような演出でもされていたんだろうと勝手に予想してた幼少期。
現在では癖が強すぎる深海魚達の独特なフォルムを見ると、
この曲に似た感情になるように。
是非とも大人気深海魚こと、デメニギスちゃんのイメージソングにしたい。
No.2 トッカータとフーガ ニ短調/バッハ
言わずと知れた「鼻から牛乳」で有名な曲である。
チャラリ〜ンの部分は「あー!」と思うが、
その後永遠に続くオルガンの重苦しく不穏なメロディーに昔はトイレ行けなくなるくらいビクビクしていた。
夜道を走る車の中で聴いた時は不安な気持ちに。
かなり1曲が長いのでなかなか解放されないのも恐怖ポイント。
更にとある作品に使われたことで後付けのイメージもあり、深刻なトラウマと化してしまったのである。
それは1990年代半ばに放送していた、
「音楽ファンタジーゆめ」というクラシックを子供向けにアレンジして紹介する教育番組。
そこの「トッカータとフーガ回」を見て戦慄が走ったのは今でも覚えている。
中盤からの本編であるCGアニメが問題のシーン。
「トッカータとフーガ」の音楽に合わせて、
黒猫が透明人間の住むアパートに忍び込むCGアニメーションがめちゃくちゃ不気味なので一部始終をご紹介する。
髭を剃る透明人間。
お次はカレーを作る透明人間。
浮いた鍋が背後から近づいてくる光景に絶句。
後ろー!!!!
最終的に猫と透明人間はぶつかってしまい、
カレーをかぶってシルエットがあらわになる透明人間。
ここで最後の強めのチャラリーン!!のクライマックスで終わる。
そしてその後
この猫がどうなったかは描かれていない…
子供向け番組のはずなのに恐怖を煽る演出と、
後味の悪い終わり方でわたしはこの曲が余計に苦手になってしまったのであった。
しかし案外大人になってよくよく聴き返すと
スタイリッシュなアレンジはセンス良いと思うのだが…
ちなみに「音楽ファンタジーゆめ」という番組は他にも常識を逸脱したような恐怖のムービー回があるので、是非調べて見て欲しい。
No.3 〜展覧会の絵〜グノーム/ムソルグスキー
こちらは前回のブログ記事でも紹介した、
ムソルグスキーの「展覧会の絵」より1曲。
ムソルグスキー、展覧会の絵については前回の記事で紹介しているのでそちらを参照されたい。
そしてしつこく再度登場させます!(閲覧注意)
曲のモデルになった、
不気味すぎるハルトマンのグノームの絵。
元々「グノーム」は民話に出てくる小人なのだそうだが、ハルトマンはそれをモデルにした玩具を作ろうとしたそうでこの絵はその設計図との事。
玩具にしてはおどろおどろしい…
夢に出ますよ…ハルトマンさん…
ちかみにグノームといえば
白雪姫の小人のようなイメージなのだが。
ロシアの方のグノームはちょっと違った解釈なの?
曲も勿論ホラーである。
序盤のおどろおどろしいサウンドは去ることながら、
後半の盛り上がり部分で半音階ずつ下がっていく裏ストリングに鳥肌を立たされずにはいられない。
最後は「ヒッ…もしかして殺される…?!」
とダッシュしてくるチャッキーを思わせるような急展開な終わり方をするのもまた気味が悪い。
No.4 木枯らしのエチュード/ショパン
これはあんまり怖い曲シリーズのイメージには入っていなかったが、とある心臓が飛び出るエピソードがありランクインした。
ピアノ教室に通っていたやんちゃな子供時代、
私はグランドピアノの真下に隠れるのが好きだった。
より大迫力な音量と、全身がピアノの振動で震えるのが大好きで。
そして問題のこの曲を弾きはじめの時にもグランドピアノの真下に隠れて遊んでおり、
序盤の落ち着いた始まりで「なんだ、スローテンポの曲か」と安心した束の間。
いきなり序盤から豹変する曲調と最大音量のボリュームが全身に響き渡り私は思わず全身痙攣を起こしかけた。
不幸な事に、音大を目指す超達人高校生の弾く「木枯らしのエチュード」(※ピアニストレベル)
だったので迫力が凄まじく、
ダイナマイトが爆発したのかと思う程の振動があまりにも衝撃すぎた。
命の危険を感じたので、トラウマ曲としてランクイン。
この曲を弾く方は是非近くに子供がいないことを確認してから弾いて欲しい。
そして普通にパラパラし過ぎている右手が今聞いても不安を煽ってきて苦手である。
No.5 ~くるみ割り人形~こんぺい糖の踊り/チャイコフスキー
これも有名な曲なのでどこかで聞いたことある人は多いと思う。
序盤のオルゴールのメロディーが微妙に不協和音じみているのと、
怪しげな雰囲気がゾクゾクゾクっと来る。
見方によってはファンシーな曲なんだろうが…
なんでこの曲が苦手なんだろうって思ったら
ACのゴミ問題を伝えるCMに使われていたのを思い出した。
この無機質で死にかけのゴミを表現した生き物が不気味で、そういった思い出もありこの曲に恐怖を感じるのだと思われる。
【おまけ】
以下からはランキングに入らなかったけど、
曲の解釈が恐怖なクラシックを紹介したい。
■ ①魔王/シューベルト
「怖いクラシック」と聞くと結構の人が上げるのがこの曲。
迫り来るような曲の雰囲気もゾッとするが、
歌詞のストーリーが結構怖い。
簡単に要約すると、
子供を抱いて馬で走る父親の背後で、
子供だけにしか見えない魔王が襲ってきて
最後は子供だけが死んでしまうというストーリー。
直接的にも衝撃な内容だが、
近年では「小児生愛の犯罪者に捕まった子供」という解釈が割と有力視されてきているらしい。
それもまた胸糞が悪くて、
なかなかにインパクトのある曲である。
確かに子供に対して「その美しい体が欲しい」とか言っちゃってるのよね。
そして最後は「子供は死ぬ」という表現は比喩で、
性犯罪に巻き込まれたことで子供ではなくなってしまった、という意味での死とも取れるみたい。
なんという、変態。
許してはなりません。
この歌詞を作ったゲーテは他にも小児生愛を取り扱った作品を作ってるようで、割と有り得る説なのがまた怖い。
本当に怖いのは魔王より、
この歌詞を書いたゲーテなのかもしれない。
■② 〜展覧会の絵〜牛車(ビドロ)/ムソルグスキー
はい、また来ました。
ポンサオさん大好き・ムソルグスキーの展覧会の絵シリーズです。
この曲は長年「牛車がゆっくり進む様子」だと言われていたけども、
元になるハルトマンの絵のビドロはなんと、
牛の絵ではなかった!
こんな感じの絵である。
(正確にビドロの絵かは判明してないらしいが)
この絵はおそらく教会の前で民衆が兵士に何かをされている絵?だと思われる。
この絵により家畜のように虐げられる民衆への感情を表現した曲だと言われる説が有力視されるようになってきた。
当時のロシアではこういった世情への批判を表現することはタブーで、実際この譜面のタイトルには削り取られた跡があるとか。
そしてその削られた意味を聞かれた際、
「ここでは『牛車』としておこう…。」
と意味深な事を発言したらしい。
ムソルグスキーさんもアルコール中毒になったりと結構悩み多き方で、
世情に不満を持っていたとも言われているから納得。
以上でございます。
実際書いてみると、前回書いた好きなクラシックより怖いクラシックの文章を書いてる時の方がイキイキしていたのは何故だろう。
よく考えると昔、密かにクラシックに怯えた私を救えた気がするからかもしれない。
こうして当時の感情を呼び起こし、
もう一度聴くと何か昔の私の念を成仏させてあげられた感覚になる。
まだ死んでないけどね…わたし…
最後のおまけ紹介は真の意味がやばい解釈として取り上げた2曲だが、
曲調だけでも昔から怖いと思っていた2曲だからここで書けてスッキリした。
便秘が解消した時のような爽快感。
またしても、私の自己満足クラシック語りにここまで付き合ってくださった方々に感謝を申し上げます。
是非とも、真夜中に部屋を真っ暗にして聴いてみてくださいね。(※くれぐれも自己責任でお願いします)