真夜中のひとりごと

#眠れない夜に

書きたい衝動が私を熱くさせる。

私が思うに、衝動とは欲だと言い切れる。
食欲、性欲、睡眠欲が人間の三大欲求であり、本能だ。理性では抗えない生きることへの力。
人間は感情と想像の生き物だから、動物やAIのように単純な動機だけでは生きていけない。今や人の一生が八十年余りあるなかで、欲や夢なしに毎日を過ごすのは不可能だろう。

書くことは私にとって夢であり、欲だ。または人生を彩るもの。
文章を綴る行為は、多かれ少なかれ私を支えてきた。私を助け、守り続けたのは他でもない私自身だし、自分で作った空想の城に住むのが好きだった。
もちろんいろいろな人が私の友だちになってくれて、いろいろな大人が私を導いてくれた。人との出会いで自分の人格がいい方向へ変われたことも大きい。それを踏まえて、私は、まぎれもない私自身が自分の尊厳を認めていると自覚している。
私を人生の旅路に突き動かすのは、「何かを書きたい」という欲望である。

物を書くのは、しんどい。物語を産み落とすことができない日は、たまらなくつらい。
それでも文章を書く行為は、こんなにも楽しい。
私のなかの「あなた」は、どこにいる?今、何してる?どんな性格なの?生い立ちは?家族構成は?
聞きたいことはたくさんあって、私の内側に眠る「あなた」はまだ答えてくれないけれど、いつか振り向いてくれたなら、その時が私の「執筆の瞬間」なのだろう。

私のお腹には無数の物語が命の原型を宿している。最初にそれを発見してくれたのは母だった。
「いつか小説の方が産まれてくる時を待てばいいから」
私の書く作品の主人公は、私の内に眠る「未知数のあなた」だ。「あなた」を書くために私は存在する。小説を書く。その欲望が私を活性化させる。「あなた」に出会えた時、私は宝石のような小説を書くことが、きっとできるだろう。
その日が訪れたら、運命と言えるようになりたい。


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