まさかの"ミイラ犬” 【愛犬エッセイ】
「ただいまー」
玄関を開けると
壁に隠れてこっちを見ている ミイラ犬 がいた。
「えっつ、えーーーっつ」
「うそやん、なんでー」
「プーちゃーん」
「えーーーっつ」
ハロウィンでよく見るミイラ男のように全身ガムテープでぐるぐる巻きになったプーちゃんの姿に
信じられないという思いと込み上げる笑いを押さえることができなかった。
ミイラ犬の正体は、我が家の愛犬プリンちゃん。
その時1歳だったプーちゃんはどうしてもトイレが覚えられなかった。
他のワンちゃん(チョコとラン)はちゃんとトイレでできるのに、プリンだけ部屋中で粗相してしまう。特にお気に入りはダイニングテーブルの下。
ここは絶対にやめてほしい。
トイレの上で食事をしているみたいで
本当に勘弁してほしい。
なんとかテーブルの下に来ないようにと
クッションや箱でバリケードを作っても
見事に破壊し〝ジョボ ジョボ ジョボ”と用を足してご満悦。
ビニール紐を張り巡らせ侵入を阻止しても
器用に入り込んでは‘〝ジョボ ジョボ ジョボ”
テーブル下にトイレシートを敷き詰めても
なぜかシートを蹴散らして床に直接〝ジョボ ジョボ ジョボ”
「もー なんなん いったい」
万策尽きて困り果てていた時に名案が浮かんだ。
〝ガムテープを粘着面を上にして張り巡らせたらいい”
これは名案だと思った。
一歩踏み込んで足にペタッときたらさすがのプーちゃんも
〝ウワッ ヤバイ”
と侵入を諦めるはずだと思った。
なのに結果は
まさかの ミイラ犬、、、
「普通は〝ヤバイ”ってなるやろー」
「もう ぷぅーちゃぁーん 勘弁してよー」
いや、プーちゃんが悪いんじゃない。
プーちゃんのテーブル下へ対する愛を侮っていた私が悪いのだ。
ごめんね、プーちゃん。
きっと、ペタッときて慌ててパニックになってしまったんだよね。
本当にごめん。
だけど、壁の向こうからのぞく顔があまりにも おとぼけ で笑っちゃう。
"なんか分からんけど、わたし 今 こんなん なってますぅ”
ってとぼけた顔して私の帰宅を迎えてくれる顔がたまらなくて。
助けを求めるでもなく、慌てるでもなく、
「いやぁー、なんか すんませんねぇ、こんなことなって」
ってプーちゃんの声が聞こえてきそうな
なんともおとぼけな顔。
虐待じゃないんだよ。
まさかこんなことになってしまうなんて。
本当に反省してる。反省はしているんだけど、、
笑いが止まらない。
お願い、その顔でこっちを見ないでぇー。