夢は心の声 夢や目標が見つからない子どもたちへ

夢というのは、自分の心の声が聞こえないと持てないと思います。

私は、子供時代に具体的な夢も目標も全然なくて、とりあえず大人に聞かれると面倒だから、保育士だの、通訳だの、表面的に適当なことを言っていました。本気で思っていないから、お恥ずかしながら、それを叶えるために何とかしようと欠けらも思わなかったし、全く努力もしませんでした。

当時も今も、大人は子どもに気安く将来の夢について聞くことが多すぎると感じます。そして、だからといって、自分がちゃんと夢を持っている大人はあまりいない気がします。だって、もし夢を追ったり叶えている人がそんなに多ければ、世の中はもっと元気なはずだから。

もしかしたら、「夢」「目標」というものがあまりに素敵なものだから、メジャーな言葉になりすぎて扱いが軽くなっているのではないかと思うのです。
そのせいで、夢や目標を持つことの本質も見失われているのではないかと。
気軽に夢を持てるのは素晴らしいけれど、その夢を気軽には扱ってはいけないんじゃないかと思うのです。なぜなら、夢は人の心が形になったもので、その人そのものだから。

以前、ある若い人に
「夢を持つと叶えた後にやる気がなくなるから持たないんだ」と分かったように言われたことがあります。どうやら、誰かから聞いた言葉の受け売りのようでした。おそらく、その言葉を呟いた人は、夢を叶えた後で燃え尽きていたのでしょう。でも、一度夢を持ち、それを叶えたことのある人なら、その後、また新しい目標を見つけたのではないかと思うのです。この言葉は、その人の人生の断片でしかないのです。
それなのに、夢や目標を持ったことがない人が負け惜しみのように自分への言い訳として、人の言葉の一部だけを都合よく切り取ってわかったように言い訳をする姿は、とても哀れで残念でした。自分の心が見えなくなってしまっているのだろうと思いました。

もちろん夢は叶える途中では、諦めたくなって、やる気がなくなる時もあります。しかし、それだけで終わらないのが夢のすごいところなのです。
夢というのは、叶う段階になると、さらなる目標や夢さえ生み出してくれる魔法のようなものだと私は感じています。

ただ、夢は心の声なので、自分を研ぎ澄ませないと聞こえません。自分の体や心が、「こんな形になりたいなあ」という自分自身から聞こえる思いなのです。

その心の声は、誰かが強制したり、周りの大人がうるさかったり、情報におぼれてしまうと聞こえなくなります。

だから、もし今、夢が持てなくても、気にすることはないのです。自分の心の声を聞こえるように、心も体も健康でいられるように毎日を生きていれば、いつかやりたいことを思いつくから大丈夫です。
わかったようなことを上から目線で言う大人の言葉なんて、気にしないでいいのです。

さらに、今の時代、私の子どもの頃にはなかった職業もたくさんあります。同じように、将来、今はない職業も増えるでしょう。だから、将来やりたいことを聞かれても、今ある職業の中にはないかもしれません。それでいいのです。

私は子どもの頃、具体的な夢や目標はなかったけれど、漠然と「私の人生は、自分の考えを表現することで明るく輝いて、どんどん素敵な人たちに出会える」と思っていました。今思えば、これはとても大切な「夢」だったのです。
ただ、これを具体的をどう実現するかは、子どもの私にはわからなくて、うまく現実とつながりませんでした。思いを分かち合える人もいなくて、いつも一人で煮詰まっていました。
漠然としたことを言うと親や周りの大人には否定されるから、私はだんだん萎縮して、誰にも相談できないまま、勇気も持てないまま、とりあえず周りの大人が納得する方向へ進みました。その結果、自分の思っていたのとは違う方向に人生が転がって行きました。自分の選択だったから仕方ないとはいえ、長年、気の合わない人の輪に入り、自分に合わない生活をする苦しい日々でした。

ただ、不思議と時折、あの子どもの時の希望が心の中に蘇ることがありました。それは、誰かに言葉をかけたり、手紙を書いたり、スピーチをしたり、人と言葉や気持ちを交わす時に感じる事が多かったのです。でも、その時は、「なんか気分が良かったし、喜んでもらえて嬉しい」と言う程度で終わって、またいつもの日々を過ごしていました。

ところが、そんな合わない生活を何十年も続けてストレスが溜まり、追い詰められた結果「こんな人生は、もう嫌だ!!」と思って軌道修正することにしました。遅ればせながら、自分が勇気を出さないと何も始まらないと気づいて、できることから始めることにしたのです。
そして、時折、満たされた気持ちになった時のことを思い出しました。そこでやっと、自分の思いを言葉で綴り、人と分かち合う事が、自分のやりたいことだと気がつくことができました。そのうち、本を出版すると言う目標ができ、時間はかかりましたが、その目標を今度達成できることになりました。

本や文章を書いては人に読んでもらい、その中で、たくさんの素敵な楽しい人たちと出会い、意見を交わすことができました。
子どもの頃にイメージしていた「明るい未来の感触」を現実的に感じることができたのです。心の中に住み続ける子どもの頃の私が、「そうそう、こう言うのが私の夢だった」と喜んでくれました。

色々やってみないとここに辿り着けなかったので、私は時間がかかってしまいました。でも、自分で感じたことは誰がなんと言おうと「やってみる」事が、夢や目標をもち、自分を満たす鍵だと発見できました。
目標がすぐに達成できなかったり、夢がなかなか叶わないこともあります。それでも、そこに向かって動けていることに喜びを感じられるから大丈夫なのです。
もし、どうしてもその道中で全く喜びを感じられないときは、もしかすると目指している目的地が少し違うのかもしれません。色々自分の中を探ってみるのも醍醐味なので、ぜひ色々試してみてください。

自分を信じて、自分の好きなこと、興味のあること、大切に思うことをどんどん追求して、楽しんでいれば、その先にやるべきことが見えてきます。今は、具体的に見えなくても、自分で新しい職業を生み出す可能性だってあるのだから、自分を信じていいのです。

私が、10代の自分に言ってあげたいことを世の子どもたちにも伝えたいなと思って書きました。

ちなみに、私の今の一番大きな夢は「世界平和」です。世界平和につながることで、今の自分にできることをしています。
そのためには、自分の心の平和をとても大切にしています。

まずは、自分の目指す場所、作りたいもの、生み出したいものに「自分が成る」ことが大事だと信じています。