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みなしおじさん
発言小町への投稿を元に書かれたネット記事がツイッターで話題だ。
その内容とは『華々しい20代を楽しんでいた元才色兼備の女性が、30代で結婚すると思っていた男性に振られてしまい、婚活に挑戦するも挫折、結婚を諦め大学に入りなおして研究者を目指すもそれも挫折、気が付けば何もない40歳のおばさんになってしまった』という、婚活漫画に出てきそうな典型的な行き遅れ独身女性の嘆きであった。
そんな40代独身おばさんに対して記事の書き手は『0歳から39歳を人生のシーズン1として区切り、40歳からは心機一転してシーズン2を楽しんでいきましょう!』と前向きなアドバイスを飛ばしているが、どう考えてもシーズン2が明るいものになる気がしない。シーズン1があまりに長すぎたと言わざるを得ない。40歳なら幼少期から青年期、恋愛と就職、結婚、出産……シーズン5辺りまでは進んでいても良い年齢だ。0‐39歳という人生の黄金期がわずか1シーズンに収まってしまっているのはいかがなものか?シーズン2が何年区切りがわからないが、残っているイベントは親の介護や自身の健康問題しかない。
悲しいことに結婚のチャンスを逃し続け、気が付けば40歳になりバッドエンド一直線な人生シーズン2に突入してしまった女性は世の中に溢れている。結婚出産となんでもできたシーズン1と違い、40歳以降のシーズン2で能動的にやれることと言えば歯科矯正と犬猫を飼うぐらいである。年齢的なタイムリミットから子供を授かることはもう難しく、結婚の可能性も限りなく低い。そんな独身女性シーズン2に襲い掛かるもっとも過酷なこととは何だろうか?
それは”みなしおじさん”として会社や社会で扱われることである。
みなしおじさんとは『こいつもう結婚も子育てもしなさそうだし、おっさんと同じ扱いでもいいだろ』と会社が判断し、女性として受けてきた配慮を全て失い、おじさん社員と同じように雑に仕事をどんどんやらされる立場になることである。
女性だからと言って気を使ってもらえることもなくなり、その辺のおっさん社員と同じように『これ明日までにやっといて』『今週は休日出勤お願いね』と、雑にしんどい仕事をボンボンパスされることになる。
既婚独身問わず、おっさん社員の我々からすればそんなことは日常に過ぎないが、30代までは”てごころ”を加えて仕事をお願いされる立場だった女性社員からみると、とても受け入れがたい待遇の変化に感じてしまう。子供のために度々休みを取る既婚者子持ちママさん社員の空けた穴をみなしおじ達が埋めさせられることになるのだ。結婚できず子供も授かれなかったみなしおじたちにとって、これほど屈辱的なことはない。
子育てママさん社員への手厚い企業支援で有名だった資生堂がその子育て支援を打ち切ることになった原因も、みなしおじ扱いを受けてママさん社員の尻拭いをさせられていた、自称元才色兼備独身おばさん社員たちのクーデターによるものであった。働くママさんたち最大の敵はみなしおじとして働く独身おばさんたちだったのである。
みなしおじ扱いをされるようになった独身おばさん社員たちは、その扱いの変化を受け入れられずみな挙動がおかしくなる。部下に異様にきつく当たったり、子供の体調不良で休むママさん社員を苛烈に批判したり、突然退職して大学に入りなおしたり海外留学に飛び出したりする。
アラフォーに差し掛かった独身おばさん社員が、それまでのキャリアをドブに捨てて自分探しの旅に出るのをネットやSNSでよく目にするが、アレの本当の動機は自分探しなどではなく『職場や周囲の皆から“みなしおじさん”として扱われることに耐えられなくなった』から逃げ出しただけなのである。
みなしおじさんとして雑に仕事をバンバン振られ、部下を持たされてプロジェクトの責任を持たされる立場になることに喜びを感じる独身おばさんはほぼ皆無である。バリバリのキャリアウーマン女性ですらおっさんと同じような雑な扱いを受けながら、部下の顔色を伺い上司に媚びへつらい、そこまでして定年退職まで仕事を続けたいと思っていないのである。女性はみな心のどこかで自分が”仕事から下りられる”日が来ると信じている。
50代60代まで仕事を続ける女性たちのほとんどは、役職などを持たない事務員やパート社員、もしくは名前だけの役職だけを持ったお飾り管理職だけである。そして彼女たちの多くは既婚者だ。女性は30代までは既婚独身問わず会社から”配慮”を受けられるが、40代を過ぎるとその”配慮”を受けられるのが既婚者だけになるのである。つまり40代以降もそれまでと同じ待遇で働きたい、会社に残りたいと願う女性は結婚して子供を持つべきなのである。
つまり結婚出産の道が閉ざされた元才色兼備な40代独身おばさんたちは、もう女性として配慮をして貰える立場へ返り咲くことは残念ながらできないのである。進んだ時計の針を戻すことはできないのだ。そして残酷なことに、既婚者ママさん社員とみなしおじさん社員の格差は今後さらに差が広がっていくことになるだろう。その理由が……
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