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”DIE WITH ZERO”を読んだ氷河期世代の感想

DIE WITH ZERO』という書籍をご存じだろうか?この本は世界中でベストセラーとなった本だ。『人生が豊かになりすぎる究極のルール』と大層な副題が付けられたこの本に筆者が出会ったのはつい先日だ。

作者はビル・パーキンスというアメリカ人であり、彼はアメリカ領ヴァージン諸島に拠点を置くコンサルティング・サービス会社BrisaMaxホールディングスCEOであり、49歳のミリオネアとなった成功者だ。

アイオワ大学卒業後、ベンチャー・キャピタル、エネルギー業界を専門に金融業界で活躍し、ヘッジファンドマネージャーとして大成功を収めたビルは、さらに映画業界にも進出。自ら俳優・監督として映画制作に携わり、現在は悠々自適な生活を送りながら、趣味であるポーカーの大会へ参加するために世界を飛び回っている。

そんなビルが書いたこの本のテーマはずばり『お金の使い方』だ。前書きでビルはこう切り出している。

まずは、有名なアリとキリギリスのイソップ寓話から始めよう。夏のあいだ、勤勉なアリは冬の食料を蓄えるためにせっせと働いた。一方の気楽なキリギリスは自由に遊んで過ごした。やがて冬が到来した。アリは生き残り、キリギリスには悲惨な現実が待っていた―。この寓話の教訓は、人生には、働くべきときと遊ぶべきときがある、というものだ。だが、ここで疑問は生じないだろうか?アリはいつ遊ぶことができるのだろう?それが、この本のテーマだ。

DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール

著者は書籍の中で繰り返しお金を稼ぎ貯め込むばかりではなく、得たお金を自身の様々な"経験"に投資することを説いている。

人は若い頃はつい自分が永遠に生きられるような誤解の中で日々の生活を過ごしている。しかし人生は有限であり、さらに人は必ず老いていく。

老いは人間から好奇心や体力を容赦なく奪っていく。医学の進歩で人の寿命は劇的に伸びているが、人が活動的に様々な経験を積むことができる年齢は何百年の前からさほど変わっていない。

著者はとにかく若い20代のうちは『お金を貯める』ことにこだわるのをやめて、今本当にやりたいことにお金を投資することを勧めている

さらに結婚し子供を持つ30代から40代前半までは、仕事に夢中になって稼ぐことにとらわれるのではなく、子供との時間、家族との様々な思い出をつくることが重要と書いている。なぜなら、家族との思い出は必ず来る老後に最も大きな喜びとなって帰ってくるからだ。

著者は貯蓄するなら給与の少ない20代ではなく、それなりに余裕の出てくる30代から40代前半に行うべき、とも説いている。

お金の少ない若いうちから『給与の2割を必ず貯金する』といったルールにとらわれてしまうと、せっかく高い感受性を持ってたくさんの経験ができる人生のゴールデンタイムを、わずかな貯蓄のためにドブに捨てることになってしまう。

老後にいくら目標以上の大金を貯めることに成功したとしても、自分自身はそのお金を使って様々な経験をしたいという気力や、それをこなせる体力も失っている。さらに、貯めたお金を子供たちに残そうとしても、受け取る子供たちももうすっかり中年であり、人生で最もお金が必要な若い時期は過ぎ去っている。

子供のためにお金を使うなら、老後ではなくまだ子供が小さかったり若いうちに使うことが、実は最も効率的なのだ。

そして著者は人生のゴールを迎える時に、資産が"ゼロ"になることを目標に、ある年齢に達するあたりで資産を増やすことから"効率よく使い切る"ことに目標を移すべきとし、そしてその年齢は多くの健康な人々にとっては『45歳』が最適と説いている。

どこかで聞き覚えのある年齢だ。著者自身も45歳に家族や親しい友人を招いて人生最大のパーティを開催したと書いてある。

45歳が人生のゴールへ向けた折り返し地点であるという意見には筆者も同意する。45歳を超えるころになると、20代30代の若い世代には想像もできないと思うが、信じられないほどに"死"を具体的なこととして感じられるようになる。

その時期にすべきことは、それまでと同じような生活を漫然と続けることではなく、ネジを締めなおして人生のフィナーレへ向けた準備を始めるべきなのだ。

著者はこのように、お金をできるだけ若い時期から自身の経験や家族との思い出に変え、老後には資産を綺麗に使い切ってこの世を去るべきとしている。それが最も人生を幸福に終えられる方法というのだ。

筆者も作者のこの意見には賛成である。たしかに人は20代と50代では新しい経験にチャレンジする勇気や体力、その経験から得られる感動や思い出を振り返ることができる時間、それらすべてが全く違っている。経験は50代より30代、30代より20代と早い時期に積んだほうがいい。

なるほど、と頷きながら読み進めていた筆者であるが、7割ほど読み進めたあたりだ。モヤモヤしたものが心に溜まっていくことが無視できなくなった。そしてついに突っ込まずにはいられなくなった。

『いや、言いたいことはわかるし正しいかもしれないけど、この話って......

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