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私と彼とカツ丼と

 夫はいつも私のナビはわからないという。わかりにくいでなくて、わからないなのだ。無理もないだって「五割ソバで有名な○○を曲がってパンケーキの武蔵野森珈琲店の横をはいって行く」とか「最近できた白いたい焼き屋の前の道をまっすぐにすすんで突き当たりのアイスの店の隣」とかではやはり食いしん坊の人にしかわからないのだと思う。

 だから今回「コロナのワクチンを接種したらコロナに軽くかかるってネットで言う人がいるけど本当なの」と質問したら、なんとカツ丼で説明してくれた。一応、プロフィールを紹介すると、彼の理学部時代の専攻は生物学で。それ系の学位をとり、臨床医ではないが現在は医療関係者との接触の多い仕事に携わっている。

夫「コロナウィルスがカツ丼だと思いなせい!」
私「うんうん、セイコーマートのでいい?」
夫「違う違う、カツ丼の構成員はトンカツとタマネギと卵とご飯でしょ」
私「うんうん」
夫「コロナウィルスがカツ丼だとしたらmRNAワクチンはねトンカツのレシピなんだよ」
私「トンカツではないの」
夫「カツ丼でもなくカツ丼を構成するトンカツのただのレシピ(メッセージ)」
私「じゃあ身体の中にはいってもカツ丼にはなれないしトンカツですらないんだね」
夫「そーそー、だからコロナワクチンが身体にはいってもコロナウィルスが身体に打ち込まれるわけではないのだ」
私「つまり、軽く感染したり、保菌者として他人に感染させたりはしないんだね。」
夫「そうだよ」
私「じゃあさアストラゼネカのワクチンは?」
夫「・・・」
私「さあさあっ、どうする食べ物で説明できるの?!」
夫「五目焼きそばにね、そっとトンカツのレシピを潜ませているんだよ」
私「えー、なんだろう。なんかすべてがわからなくなってきた」
夫「いいからワクチンはうちなさい」
私「はーーーーい」

というわけで私はワクチンを打ってもコロナにはかからないというのをこのように理解しました。

了。

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原 ふゆこ
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