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35年ぶりに映画「バグダッド・カフェ」を観た

※ネタバレあります。

映画「バグダッド・カフェ 4Kレストア」を観た。https://alfazbetmovie.com/bagdadcafe4k/#kanto


この映画を観たのは2回目。
1回目は35年前。
当時はまだ学生だった。

自分にとって最初のミニシアター作品。
映画の中で流れる「コーリング・ユー」が印象的だったのに加え、「ミニシアター作品」というなんとも大人の世界を感じさせる響きに惹かれて、福岡天神の映画館に見に行ったのを覚えている。

まさかあれから35年が経過し、自分が50台半ばになって、東京で再度この映画を観ることになるなんて当時は思いもしなかった。

今回訪れたのは恵比寿ガーデンシネマ。

初めての訪問だったが、普通の映画館と違って内装がおしゃれ

今回映画を観ながら思ったことは、前回に見た内容を実はほとんど忘れていたということ。35年経って明確に覚えていたのは、
・冒頭の夫婦の喧嘩のシーン
・ブーメランが夕方の空を舞うシーン
・タトゥー屋のお姉さんが居づらくなって出ていくシーン ぐらい。
そういう意味では今回はほぼ初見の感じで飽きずに楽しむことができた。

そして、映画を観終わっての感想はというと、
「わざわざ観に来てよかった」

何がよかったかを振り返ってみた。

現代に必要なおせっかいおばさん

主人公のヤスミンははっきり言ってしまえば、おせっかいおばさん。
他人の事務所を勝手に掃除する。
よその赤ちゃんを勝手にあやす。
そんなことしてたらイライラブレンダが怒り出すよ、、、と観てるこっちがヒヤヒヤするようなことをやっていき、ヤスミンが現れるまで家族とモーテル常連しかいなかった世界をかき回し、周囲の人たちを怒らせ、困惑させる。しかし、悪気がなく朗らかなヤスミンの行動が周囲の人々とモーテルを変えていく。
現代の日本において、会社でも地域でも、特に都会においては、昔に比べ他人には深入りしない、深くかかわらない風潮が年齢を問わず広がっていると思っているが、優しい気持ちで1歩(ヤスミンの場合は2歩、3歩?)相手に近寄りかかわることで相手を変え、関係性を構築することができることを再認識させられた。

写真の構図の勉強になる

昨年から、コンパクトデジカメで毎日写真を撮るようになったので、写真を撮る目線でスクリーンを観てしまうそんな私にとって、この映画はとてもよい勉強材料になった。動画と写真の違いはあれど、「このシーンをこういう構図で撮るのかぁ」とか「ここでカメラを傾けるんだあ」とか、ハッとさせられる場面がところどころに見受けられた。それに、色身の少ない砂漠の中で赤や黄色の目立つ色を上手に使っているのもポイントだった。

心が落ち着く

その理由は映画の中にスマホが出てこないこと。35年前なのでスマホはもちろんのこと携帯電話も存在はしておらず、通信手段は固定電話。
そして、映画の舞台が砂漠の中にポツンと存在する客の少ないモーテル。人の出入りが少なく、登場人物も限られている。実際は狭い生活範囲で窮屈なのかもしれないが、東京で電車に乗っても買い物に出かけても会社に行っても、人にまみれてあわただしく生活している身からすると、ホッとする部分はあった。あの砂ぼこりの舞うモーテルで生活してみたいかといわれるとイエスとは言い難いところはあるが。

この映画がきっかけで、その後「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」や「ニューシネマ・パラダイス」などのミニシアター系の映画に出会うことができた点で私にとってエポックメイキングな映画と言える。

それにしても、モーテルの経営者のブレンダ役の俳優さんの演技は見事の一言。イライラ激おこモードから本来の優しい女性に変わっていくまでの変遷を豊かな表情演技で見せてくれる。この映画のもう一人の主役。

ただ唯一引っかかっているのが、映画の中でのヤスミンの裸のシーンが2回も必要だったのかということ。きっと映画という料理を引き立たせるスパイスのようなものだと自分なりに納得させている。



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