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やせることのリスクを伝えることの難しさ

SNSで質の低い情報が拡散されることはよくあることですが、ダイエット情報は、その代表例の一つと言ってもいいですよね?もちろん、良い情報もたくさんありますので、一概には言えないですが、全体を俯瞰して見ると、質は悪いと言わざる得ないでしょうね・・・。

そもそもの話として、ダイエット情報の大きな間違いは、ダイエットの必要がないこと、過度なダイエットが危険ですらあると言うことをちゃんと伝えていないことだと思います。

僕は声を大にして言いたいです、標準体型(BMI20~25)にちゃんと収まっているのに、痩せたいと言っているそこのあなた!全然そんな必要はありません!むしろ標準体格というのはベストな体型なんです。

食品メーカーで働いていると、例えば機能性表示食品では”痩身(ダイエット)”の機能性表示に関しては厳しく制約を受けていることを感じます。これは、葛の花エキス事件で、東洋新薬の葛の花エキスを機能性成分としたサプリメントの大量撤回からはより明確ですが、当初から結構感じることがありました。

僕も、消費者庁から若い女性の過度なダイエットの問題があるので、”痩身”の機能性は差し控えて欲しいと言ったニュアンスのコメントを直接受けたことがありました。

食品メーカーで働く立場としては、TVなどで「この食材を食べるとやせます」みたいな放送によってスーパーから商品が無くなったみたいな経験をしているので、プロモーションとしての”痩身(ダイエット)”の力を実感しています。それを直接ではないにしろ消費者庁が邪魔をするというのは、制度としてどうなのかな?という気持ちにならないこともありません。

ですが、その一方で、個人の意見としては国はもっとしっかりと痩身の社会問題に取り組むべきだと思っています。と言うことで、この記事ではダイエットに関する情報発信の課題などについて思っていることを書いていこうと思います。

若い女性の20%がBMI18.5未満

では、実際にはどのような問題があるのでしょうか?ダイエットの問題としてまず挙げられるのは若い女性の過度なダイエットです。10代、20代の女性で痩せたいと思わない人って基本的にはいないのではないでしょうか?

明らかに痩せているのに、ダイエットに命をかけている若い女性に僕は何度も会ってきました。

実際、令和元年の国民健康・栄養調査の結果では15~19歳、20~29歳の女性のなんと21%がBMI18.5未満という値です。昔から若い女性の過度なダイエットは社会問題ですが、近年では15~19歳の高校生くらいの世代でもその問題が広がっている点が特に注意すべき点です。

過度なダイエットの問題は大きく2つあります。

① 筋肉の減少による若年層のサルコペニアや将来の認知症リスクの増加

拒食症などの精神疾患のリスクの増加

です。過度なダイエットは国内ではもちろんのこと、海外でも大きな問題です。次に海外での痩身の社会問題に対する取り組みについて見てみたいと思います。

ダイエットの社会問題は国際問題

ダイエットの問題は、日本人に限った問題ではありません。

海外でも多くのファッションモデルが拒食症を患うなど、若い女性の過度なダイエットは国際的な問題となっていました。しかし、近年は少しずつこの問題に対する規制が進んでいます。

例えば、欧州の一部の国ではBMI18.5未満のモデルの出演が禁止されており、パリコレ、ミラノコレクションには痩せすぎたモデルは出演できません。確かに海外の有名ファッションショーに出演するモデルの体型は、割としっかりとした体格で健康的な美しさを感じる方も多いのではないでしょうか?僕は日本人や韓国人アイドルのような細さとは違った印象を持っています。

このような国際的な動きを考えると、日本国内でも、モデルやアイドルの体系については、もう少し規制をした方が良いのではないかな〜と思っていますし、海外と歩調を合わせることを考えると、今後はそのような方向に行くんだろうな〜とは思っています。

規制が進むほど質の低いインフルエンサーが得をしている

ただ、規制が進んだ時に、同時に問題となるのは質の低いダイエット系インフルエンサーだと思います。

そもそもの話として、過度なダイエットは危険ですという話はバズりにくいので、啓蒙活動が難しいです。その上、食品・医薬品メーカー、医療機関などでは自分達から積極的にダイエットの情報発信をすることは、痩身の社会問題を考慮して抑える傾向があるので、個人のインフルエンサーがとても目立っています。

ショート動画を探すと「この運動を続けるだけでやせます!」みたいないい加減な動画が散々出回っています。吊し上げたり、公開処刑みたいなことはしませんが、デマ情報のデパート状態になっています。

何が言いたいかというと、ダイエットに関する情報発信は医療機関やアカデミア、メーカーなどの信頼性が高いメディアでもっと積極的に行うべきだし、その時に、しっかりと痩身の問題についても情報発信を行うことが大事なんじゃないかと思っています。

と言うことで、この記事を見て、下記のような変なダイエット情報に煽られていたな〜と思った方はSNSから離れた方が良いと思います。

よく見るデマ情報の例

この運動であっという間にくびれができる:
【間違い】部分痩せは基本的にない(筋肉で皮を引っ張るなどボディメイクが必要)
ー参考:「部分痩せ」ってできる?脂肪を効率よく減らすコツを解説します! LINK

この運動をするだけであっという間に-3キロ:
【間違い】3キロの体重減は約2万kcalに相当する(ランニングなら30時間くらい)
ー参考:生活や運動の消費カロリーの計算 LINK

玄米を食べれば1ヶ月に-2キロ:
【間違い】茶碗1杯でカロリーの差は3kcal(3食置き換えても4年以上かかる)
ー参考:お米の栄養がすぐわかる。お米ヘルシー早見表 LINK

おすすめのインフルエンサー

最後に僕が正しい情報発信だからおすすめだと思っている方々を紹介しておきます。僕は普段Xを使用しているので、Xのポストと一緒に紹介します。

このような方の情報が少しでお役に立ったらありがたいなあと思います。それでは、また別の記事でお会いしましょう。



藤田聡先生(立命館大学・教授)
タンパク質関連でTV出演も多いです。


鈴木祐氏(大人気サイエンスライター)
論文メモのようなブログの更新頻度が高いです。


庵野拓将氏(理学療法士・トレーナー)
著書、科学的に正しいダイエットなどを出版しています。

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