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麻と日本人

爽やかな季節になりましたね (*´▽︎`*) 私の故郷の田舎ではゴールデンウィークに一斉に田植えが始まり、まだ残雪を残した山脈のふもとには薫風の中きらきらと眩しく輝く水田が一面に広がり大地が潤いをみせてくれます。五月は一年のうちでも最も好きな季節です。

毎年この季節になると春夏物の中から麻のシャツを引っ張り出して着ています。5月の爽やかな新緑に麻の清涼感がぴったりでどうしても着たくなってしまうんですよね~。美しい色合いも魅力です。

今着ているシャツは殆どがフレンチリネンなどの外国産ですが、かつては日本でも麻が広く栽培されていました。麻には様々な種類がありますが現在日本で衣料品のタグに「麻」と表記出来るのは麻の中でもリネンとラミーの2種類だけです。


日本では昔から「麻」と言えば大麻を指していました。大麻というと今では何か触れてはいけないタブーのようなイメージがありますが、もともと大麻は古来から日本人と共にあり日本文化に深く根ざした植物です。日本人と麻の歴史は古く、なんと縄文時代早期にまで遡ります。福井県の鳥浜貝塚遺跡では縄文時代早期に作られた麻縄が出土しており、縄文土器の模様は麻縄でつけられたものである事が分かっています。


大麻は古来から「穢れを払う」として日本の神事に欠かせないものでした。神社でお祓いに使う大幣 (おおぬさ)は麻で作られています。大幣とは神主さんがご祈祷の際に持ってバッサバッサと振っている“ふさふさのやつ”の事です。現在では紙のものや紙と麻が一緒になったものを目にすることも多いですがもともとは麻が用いられていました。大幣(おおぬさ)は大麻(おおぬさ)とも書きます。そのまんまですね。大嘗祭や新嘗祭などでは古来から祭官は麻布で作られた祭服である小忌衣( おみごろも) を着用します。神社のしめ縄や横綱の締める綱も大麻です。細かいですが巫女さんが髪を束ねているのも麻ひもです。


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この模様の名前をご存じでしょうか?鬼滅の禰豆子ちゃんでお馴染みですが、これは麻の葉模様です。麻は邪気や魔物を祓うと考えられていたため麻の葉模様は古くから赤ちゃんの産着として用いられてきました。産まれてきた子供を邪気から守り麻のようにすくすくと成長するようにという願いが込められています。鬼滅はこんなところでも演出が細かいですね。


実は古事記にも麻が登場します。天照大神が天の岩屋に隠れ入ってしまったために世界が真っ暗闇になり、八百万の神がなんとかお出まし願おうと榊の上の枝にヤサカニノマガタマ、中の枝にヤタノカガミ、下の枝に白丹寸手 (シラニギテ) と青丹寸手 (アオニギテ)を吊り下げて祝詞をあげる場面です。

シラニギテとは楮(こうぞ)の樹皮の繊維で織った布のぬさでアオニギテは麻の繊維で織った布のぬさを指しています。

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この場面で三種の神器のヤサカニノマガタマとヤタノカガミと肩を並べて出てくる麻って凄くないですか?( ̄∇ ̄)

如何に日本人にとって麻が大切なものであったかが良くわかります。日本人にとって麻は神様が宿る草として神聖なものでした。


大麻は非常に成長が早く100~120 日で3~4m 程に成長し採取することが可能で害虫に強く、少しの水でも育つ事ができ輪作も可能です。おまけに土壌を改良する作用があり、あらゆる土地で栽培が可能です。余すところなく生活に活かすことのできる麻は昔の人にとって生活に欠かせない植物であったのだと思います。


そんな大麻ですが日本では戦後GHQの大麻取締法により大麻栽培は禁止されました。それまで日本には多くの麻農家があり大麻は米に次ぐ農産物として日本中で盛んに栽培が行われていました。大麻が日本人の生活から消えたのは案外最近の事なのです。

そんなにそこら中に大麻があったら日本には薬物中毒が蔓延したりしなかったの?と思われるかも知れませんが、インド産大麻などと違って日本産の大麻は精神作用物質が少ないため薬物として吸う習慣は一般的にはなかったようです。これだけ昔から身近にありながら規制などの問題にならなかったのは特に弊害がなかったからだと考えるのが自然です。

にも関わらず何故GHQが日本の大麻栽培を禁止し、種子を含めて絶滅させようとしたかについては様々な事が言われていますが一部では日本人と神道との繋がりを断つためや、日本の伝統文化を破壊し日本人のアイデンティティを失わせるためだったとも言われます。


日本産大麻については様々な効能が謳われているので興味のある方は調べてみて下さいね。誤解も多い日本の大麻ですが私たちの祖先が古来から親しみ大切にしてきた大麻を日本の伝統文化の一つとして大切にしていきたいですね。





最後まで読んでいただき有難うございました

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