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【希里峰の苗床:不定期お試し】座敷童子、引っ越しをキメる

 毎度お世話になっております、虎徹書林専属作家の希里峰ですm(__)m
 ハジメマシテの方、肩の力を抜いて、お付き合いくださいませ。

 定期購読マガジン『希里峰の苗床』の名刺代わりとして、不定期ではありますが【お試し読みもの】を出してみることにしました。
 虎徹書林は「虚実の輪郭が曖昧になるようなお話をお届けする」旨を看板に掲げておりますけども、サテサテ、では具体的にどんな風味なんだ?と問われますと、これが実に説明に困るのです。
 希里峰ぽんぱという作家の持ち味、実際に読んでいただいた方が早いのじゃない?
 
というわけで、小さじ一杯分ほどの「試食会」を考えてみた次第です。
 虎徹書林の屋号を覚えていただくだけでも結構です。
 ちょいと御時間頂戴いたしまして、くつろぎながらお読みいただけましたら幸いでございます――

座敷童子、引っ越しをキメる

 希里峰は狐狸妖怪の類に興味津々の毎日を送っています
 物語やエッセイに、妖怪をモチーフとして登場させることもしばしば
 今回は『座敷童子』を軸として
 自由詩の顔をしたショートショートを書いてみました
 二度三度読んで効いてくる「遅効性の毒」が潜んでいるかもしれません
 御試食はくれぐれも、用法用量を守ってお楽しみくださいね

居心地良い場所が息苦しくなってきた
私たちイイトモダチだねって言ってた
イイトモダチ?てなんだろうな
話しかけると返事をする。私も、そう

イイトモダチが他所のイイトモダチのことを教えてくれる
耳の中が、目の奥がベチョッ、てしたのが嫌だった
お外から帰ったら手を洗うんでしょ
スナック菓子に塗れた言葉で触らないで

言葉が上滑りしている
イイトモダチは都合良い同胞のこと、だと書斎で盗み読みした本で知った
相変わらず汗だかよだれだかわからないものを擦り付けて
好きよ好き好きなんて言わないで

私が居ないと困る。それは嘘
トモダチ居ないとこでどうやって生きるのよ、うん、余計なお世話
私こう見えてなかなか長生きしてるのよ
嗚呼、居心地良い此処ともオサラバだなあ



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