34.自分の身は自分で守る

フリーランスで仕事をしていると思いがけないご依頼、相談といったものが来ることがあります。
その時自分がどのように対処するかによって、その後の自分の信頼度というのは大きく変わってしまうものだと感じています。

以前私は明らかに既存IPと酷似している案件の相談を受けたことがあります。
かつ私は既存IPとお仕事をしたことがあり、その経歴もその企業は知ったうえで私に相談をしてきました。
その時提示された報酬は確かに高額でした。
ですが、話を聞いていくうちに提案された資料等があまりにも酷く、著作権侵害に対する知識があまりにもないのと、既存IPへの反感の気持ちがものすごく伝わってきたのできっぱり断りました。
報酬が高額だったので、もしかするとその後相談を受けたイラストレーターは請け負ってしまったかもしれません。
でも私にとっては金額よりもモノづくりに対する考えが同じ方向を見ていないという点、自分はフリーランスであり信用問題は特に重要である、という点から絶対に請け負うべきでないと判断しました。

著作権問題はこの業界では本当に気を付けなければならないテーマだと考えています。
「似ている」「似ていない」は主観的な考えだったりしますが、一番大事なのはその作品を見た人たちがどう思うか、に考えを馳せることだと思うのです。自分的にはそれが上手くできたとしても、作品が公の場に出るのであれば見た人がどう思うか、まで考えなければなりません。

最近ではインスタなどのDMで高額な報酬を提案し、イラストを描いてほしいといった英語のメッセージが届くという話もあります。
デザイナーやイラストレーターに対する詐欺のメッセージですね。
私のところにも今までそういったメッセージが100件以上届いていますが、基本的に相手にしていません。何故なら依頼内容があまりにもはっきりしていないこと、個人が出す金額にしては報酬が高額すぎる、この2点が一番引っかかるからです。そして言葉遣いに丁寧さを感じない、という点もあります。

残念ながら世の中そんなに甘くないんです！本当に…
もちろん全ての依頼に対して疑心暗鬼でいた方がいいというわけではないですが、簡単に成功できるほど世の中は甘くない、きちんと自分で判断して自分の身を自分で守る力がある人はどんどん成長していく…世の中よくできているよなあって日々感じます。

人を見抜く力、判断力は一朝一夕では身に付きません。
やはり色んな経験を積んで、色んな人たちと関わっていくことで徐々に分かっていくものなんですね…
難しいですが、時間をかけて身につける大切な能力だと思います。