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【体験談】抗うつ薬を半年飲み続けて何キロ太ったか?

抗うつ薬を飲んで太ってしまった・体重が増えてしまった人に向けて、それは単なる副作用であり、運動不足や食べ過ぎということではないし、ましてや体重管理や健康維持に怠惰であるといったことは決してないということを最初に強調しておきたい。

苦しいことに耐え続け、悩みに悩んだ末にやっと精神科・心療内科を頼り、お薬を処方された。お薬は自分に合わないものも多いし、飲んですぐに効果が現れるものではない。効いてきたかな?と思っても、またメンタルがバチボコに落ちてしまう。そんなことを何度も繰り返し、何重にもしんどい思いしてきたのに、副作用で体重や体型まで変わってしまうのか。

それは体験したことがある人にしか決して分からないものである。

さて、今回は、抗うつ薬と体重について、自分の体験を交えて書いてみようと思う。わたしは、通院歴が半年(2021年6月現在)、同時に抗うつ薬による治療も半年になった。この間に、自分も例に漏れず体重や体つきの変化があったので、気づいたことや感じたことを整理しておきたいなと思う。

早速だが、結果から。

わたしは半年間で、約3キロ太った。お薬を飲み始めて1ヶ月半-2ヶ月くらいでお腹が気になり始めて、3ヶ月目に気づいたら2キロ増えていた。半年目でさらに1キロ増え、計3キロ増えたことになる。

たったの3キロかよ、誤差じゃんと思われる方もいらっしゃるかもしれないが、個人的には、やはりこれは抗うつ薬の仕業だなと思えるほどの変化だった。そう思う理由がある。

まず、抗うつ薬を飲み始める前の自分のスペックから。
体重が約48キロ。BMIが17.85で、日本肥満学会の判定基準によると「低体重(痩せ型)」に分類されるらしい。スキニーを履くと足細いねと指摘され、当初はそれが流行りだったから特に気にしなかったものの、今はもう絶対に履けない。母の高校時代のあだ名はガリガリすぎてスケルトン。そんな親の血を引いて自分もガリガリ体型。そして太りにくい体質。

食事の量は前後で変わっていない。むしろ運動をするようになったので痩せてもよいはずだ。そんな自分が3キロも太ったのだ。BMIにして18.96の「普通体重」。適正体重からはほど遠いものの、「低体重」を脱したのは、ラーメン屋バイトのまかないで毎日ラーメンを食べていた頃ぶりだ。これは抗うつ薬の副作用と言ってもよいと思う。

こんな研究成果がある。R. Gafoor et al.(2018)によると、抗うつ薬により、BMI基準の普通体重の人は前肥満か、肥満に、そして前肥満の人は肥満になるリスクが高まることが分かっている。また体重増加のリスクは、抗うつ薬を飲み始めてから2、3年目に最も高まる(検証は1-10年間で調査された)(1)

なるほど、自分は低体重から普通体重ではあるものの、BMI基準が1つ移行したのは事実であるし、服薬を始めてからまだ半年しかたっていないことを考えると、これから先、まだまだ体重が増える可能性がある…。

逆に言うと、繰り返しにはなるが、冒頭の通り、抗うつ薬を飲み始めて太るのは仕方のないことなのである。だからこそ他人に「もっと運動したら?」とか「最近食べ過ぎなんじゃない?」とバカにされる筋合いは全くない。事情を知らないお前に何がわかる!!??!?!?!?と心の中で思っておけばよい。もちろん服薬のことを話しても良いし、適当に誤魔化してもよいし、その知人としての縁を切ってもよい。何にせよ、そう言われた時の返し方を事前に考えておくとイライラしないで済むだろうと思う。

やはり精神科に通っていることに対していまだに偏見やイジメが残っているだろうし、抗うつ薬を飲んでいることは他人に言いづらい(わざわざ伝える必要もないが)。だからこそ体重増加や体型変化を他人にうまく伝えることは難しい。一つの基準としては、打ち明けることで自分にメリットがあるかどうかだと思う。付き合いが長く、本当に仲の良い人であれば、事実を伝えることで気を遣ってくれたり、こちら側の要望を伝えやすくなるかもしれない。かといって、うつ当事者の自分でも、うつ症状のある知人や友人に対してどのように接するべきなのかよく分かっていない。だからこそ、言うべきかどうかは本当に迷うし、難しい。

もう一つの弊害が、お腹がポヨポヨになってしまったことである。お腹の脂肪はゼロ、皮1枚やっとつまめる程度だったのに、たっぷりの脂肪が付いた。体重に関しては、もっと太った方が健康的であることは分かっていたので、個人的には全く問題ないのだが、お腹周りの脂肪は想定外で、少しショックである。

そもそも抗うつ薬は心身をリラックスさせ、代謝を落とす作用がある。その結果、皮下脂肪や内臓脂肪が蓄積しやすくなるのだ。なるほど、体重が増えやすくなるわけだ。

そして風邪薬に多くの種類があるように、抗うつ薬にもいくつかの種類がある。患者の症状に合わせて、医者が適宜処方するのだと思うが、それによって太りやすさも変わってくるようだ。ちなみにわたしが飲んでいるのはSSRIのレクサプロというお薬で、抗うつ薬の中では太りにくいらしい。それでも現状で3キロ増えたことを考えると、お薬によっては共に付き合っていくのが難しいものもありそうだ。実際、抗うつ薬を飲み始めて10キロ以上増えたという人の話もよく聞く。

例えば2、3年経って、自分が、服で隠せないほどのぽっこりお腹になってしまったとき、そんなありのままの自分を受け入れることができるだろうか。生真面目に毎日筋トレとランニングをして、厳格に食事管理をしていないだろうか…。

少なくともそうなるまでに日頃から適度な運動をして、体重増加を少しでも遅らせておこうと思う。また半年後に1年間の経過として記録したい。

・参考文献
(1)GAFOOR, Rafael; BOOTH, Helen P.; GULLIFORD, Martin C. Antidepressant utilisation and incidence of weight gain during 10 years’ follow-up: population based cohort study. Bmj, 2018, 361.


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