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2024年度 東京学芸大学 学校推薦型選抜 E類教育支援専攻 ソーシャルワークコース 小論文 模範解答


 
 子どもは自立した個人として自己を確立していく意見表明と自己決定の主体であり、いわば権利の主体である。したがって、「子どもの意見表明権」は擁護されるべき人権のひとつであるといえる。しかし、すべての子どもが大人と同様に自身の意見を表明できるとは限らない。というのも、子どもの発達段階や環境によって自分自身で声を挙げることが難しい子どももいるからだ。それでは、「子どもの意見表明権」を擁護するためにはどうすればよいだろうか。
 まず、子どもが安心・安全に意見を表明できる環境を確保することが必要だと考える。というのも、子どもが大人より弱い存在であることは明らかであるため、子どもが自分の考えを誰にでも臆することなく表明できる場を確保するべきであると考えるからだ。たとえば、こうした環境を整備するには、子どもが自分で判断するために必要な情報が十分に与えられていることや、意見を言っても罰や不利益を被らないこと、発した意見が的外れであったり、間違いであったりしても、それについて全面的な責任を追わなくていいことなどの寛大な対応や十分な配慮が望まれる。
 また、「子どもの意見表明権」を守るには、子どもの発達段階や特性を考慮する必要があると考える。というのも、一概に子どもといっても幼児から高校生に至るまで、語彙の多寡や表現力、社会経験の程度や判断能力は大きく異なるため、発達段階やその子どもの特性に応じた配慮を行う必要があると考えるからだ。たとえば、高校生などある程度大人に近い年齢ではあっても、自身の意見を表明することを苦手であると感じたり、自分の考えをうまくまとめられずその思いを言語化できないことなどもあるため、年齢に応じた発達段階を前提とせずに、一人一人の子どものあり方に応じた配慮を行うべきである。
 さらに、子どもたち自身に意見を表明することは当然の権利であり、この権利を行使する方法について理解してもらうことが不可欠だと考える。というのも、子どもたち自身が意見の表明を権利として理解し、権利を行使することが必要だと考えるからだ。したがって、「学校生活において自分にとって嫌なことをしたくないと拒否すること」や、「自分が学びたい本を図書館に置いて欲しいと要望を出す」といった形で自分の思いや考えを表明して、意見表明を権利として肯定することが重要であると考える。(975字)

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