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2024年度 立教大学 アスリート選抜 小論文 模範解答


 課題文において、スポーツを通じて表象される「男らしさ」への固執が、「男らしさ」から逸脱するあり方や考え方を容認せず、「男らしさ」に基づいた競争と勝利を至上のものとすることによって、弊害を生じさせてきたことが指摘されている。つまり、「男らしさ」や「女らしさ」に対する「こうあるべき」、「こうあるのが自然である」と考える先入見にとらわれることによって各種の弊害が生み出されると考える。他方で、こうしたジェンダーへのわれわれの先入見や差別は、個人にのみ起因するものではなく、これまでの社会や歴史的な文脈において形成されてきたものでもある。それでは、「スポーツを通して」、ジェンダー差別や性的マイノリティーを差別することのない「連帯や対等な関係性を育む」にはどうすればよいだろうか。
 課題文において指摘されているように、スポーツを通じて、競争することになる他者を自分と対等な存在として尊重する考え方や姿勢を培うことができると考える。というのも、スポーツにおいては対等な他者が存在して初めて競技が成立するため、競技の成立条件そのものが他者の存在に敬意や尊重を示す動機となるからだ。したがって、スポーツ競技を通じた教育として、他者を競技者として自身と対等な存在として認め、他者に対する敬意や尊重を育む指導を行うべきだと考える。
 また、スポーツを通して自らのジェンダー観念を意識し、競技者が自身の先入見を批判的に検討する機会を得ることによって、ジェンダー差別やマイノリティ差別を抑止することが可能だと考える。というのも、具体的な身体活動において人々の差異が顕在化するスポーツにおいてこそ、自身のジェンダーやマイノリティに対する先入見を自覚する機会を得られると考えるからだ。したがって、多様なあり方をする他者とスポーツにおいて協働し、競技者自身の振る舞いや言動を反省する機会を設けることが不可欠だと考える。(792字)

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