2019年度 浜松医科大学 看護学科 学校推薦型選抜 小論文 模範解答
人間の看護師と看護支援A Iロボットとの協働はどうあるべきだろうか。A I技術の発展に鑑みたとき、看護支援A Iロボットに期待しうる点は大きく二点あると考える。第一に、看護師にできないことを実行する点である。
というのも、医療を取り巻く環境は、医療技術の進歩および医療提供の場の多様化等により大きく変化してきており、看護師にも高度化・専門化が求められているからだ。たとえば看護支援A Iロボットは、生物学、解剖学、病理学、分子生物学等を含めた看護に必要な広範かつ最新の知識についての学習支援や、看護の現場において看護師に求められる各種の高度な判断に対する支援が可能である。また、昨今は英語を話すことが難しい外国人旅行者も増加しているため、多言語対応のA Iロボットを医療現場に導入することによって、外国人患者への対応も可能となる。したがって、現行の看護師の特性上、対応が難しい点については、看護師は看護支援A Iロボットとの協働を必要とすると考える。
第二に、人間の看護師と看護支援A Iロボットが看護技術等を相互に補完し、協働して看護を実行することであると考える。というのも、看護支援A Iロボットには、看護の現場において人間と同様に患者に対応することが困難な面もあると考えるからだ。たとえば、人間の痛みや辛さは原理的にはその人間に固有のものであり、数値化するなど客観的な基準を持ちえない。したがって、患者の痛みや辛さを理解しようと努める看護師の存在こそが患者の救いになる点では、看護支援A Iロボットによる看護業務を人間の看護師が補完しうるといえる。他方で、患者との対話を行うだけで看護記録を自動入力化することが看護支援A Iロボットには可能である。それゆえ、多数の患者の膨大な量の記録保持などについて、看護支援A Iロボットは業務の効率化や削減によって人間の看護師の仕事を補完しうると考える。(786字)