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2021年度 下関市立大学 前期日程(全学科共通 小論文「論述(図表理解)」 模範解答
設問1
図1と図2から、1987年から2015年までのひとり一日あたり平均移動回数と外出率の減少傾向が明らかである。とくに休日の外出率の低下傾向が顕著である。一度でも外出した人のみの平均移動回数の減少は激しくなく、とくに休日の移動回数は平日のそれを上回っていることを考えると、休日の外出率の低下が全員の平均移動回数の減少に影響していると考えられる。図3からは高齢者の外出率が他の年代に比べ低いこと、高齢者の外出率が上昇傾向にあるのにたいして、若年層のそれが低下傾向にあることがわかる。これらから、社会の高齢化と若者の巣ごもり傾向が、日本全体の外出率の低下と移動回数の減少の要因となっていると考えられる。(297字)
設問2
図4を見ると、平日、休日ともに若年層の移動回数が減少傾向にあり、男女の移動回数が1990年代から2000年代前半にかけて逆転している。図5から、非正規雇用や非就業の若年層男性の移動回数が平日、休日ともに少ないことが分かる。90年代以降の雇用の不安定化により男性の移動回数減少に影響しているといえるだろう。図6の平日では、男性の業務での移動が87年から05年にかけて激減しており、また女性の通勤での移動が増え、買い物や私事での移動が減少している。前者の要因は、90年代後半からのインターネットの普及により対面での取引にメールが取って代わられたことにあろう。後者は女性の社会進出によると思われる。同図の休日が示すのは、私事での移動が87年から05年にかけて激減していること、05年から15年の買い物での移動が減少していることである。前者は90年代以降の大型商業施設の進出、00年代前半のネットの家庭への普及、後者はとくにネットショッピングの普及が要因だろう。女性の買い物での移動が依然として男性より多いのは、現地で商品を見て購入する女性の傾向にあるだろう。総じて、図5・6は図4の傾向を説明してくれる。(499字)