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2024年度 岡山大学 歯学部 歯学科 学校推薦型選抜 小論文 模範解答


2024年度 岡山大学歯学部歯学科 学校推薦型選抜 小論文 模範解答
 
問1.
診断や治療の判断の主体が医師から人工知能に移っていくなかで、診断や治療の選択をどこまで機械にゆだねるべきかという問題や、患者が個人医療情報をどこまで人工知能にゆだねるかという問題が挙げられる。(96字)

問2.
事例:
AIを用いた採用システムを開発した際に、学習データの多くが男性の履歴書を中心としたものとなっていたため、偏りのあるモデルにもとづいてAIが男性を採用することが望ましいという判断をくだした。(92字)

対策:
アルゴリズムバイアスを抑制するためには、学習データそのものに偏りが出ないように、多数かつ多様なデータを利用できるようにしたり、バイアスはもともと人間社会の中にあるため、社会においてどのようなバイアスがあるのかを正しく認識しておき、バイアスによって生じる不利益を回避しうる学習データを作る必要がある。(149字)


問3.
AIが担うべき職種:一般事務職
理由:
データ入力や既定の計算、文書作成などを担う一般事務職の仕事は、AIによって代替可能であり、AI技術の発達によってより効率的かつ高品質な作業が実現されつつあるため。(79字)

AIが担うべきではない職種:ソーシャルワーカー
理由:
ソーシャルワーカーの仕事は、さまざまな支援を求める人々の実情に耳を傾け、適切な社会支援へと誘導する必要があり、AIによって一義的な判断を行うことができないため。(79字)



問4.
 医療における人工知能の利用に対する判断を行う能力が十分でない人々に対しては、あらかじめ保護者を決め、保護者が判断を行うという筆者の考え方に対しては賛成である。というのも、保護者による同意があれば人工知能の利用に対する判断を行うことができないことを理由に適切な治療を受けることができないという事態を回避することができ、さらに人工知能の利用によって適切な診断や治療方針が選択されるという臨床上の利点があるからである。しかし、判断能力が十分ではない人々の代わりに判断を行う保護者となる要件には、規定を設ける必要があると考える。その理由は大きく二点考えられる。
 第一に、親族のような人間でなければ、判断を行う能力が十分でない患者のために代わりに十分な説明を受け、人工知能利用について慎重に判断ができないと考えるからだ。特に、どのような個人医療情報がどのように利用されうるのか、人工知能によって個人医療情報からどのような理屈によって診断や治療法が選択されたのかについて理解をするために、保護者には相応の情報リテラシーが求められることや、保護者は患者に不利益とならない判断を行う必要があることから、患者にとって保護者は正しく個人医療情報の扱われ方を理解し、患者の利益を優先する存在である必要がある。したがって、保護者となる要件として、「三親等以内の親族であること」といった規定を設ける必要があると考える。
 第二に、規定を設けずにどのような第三者も保護者となりうるのであれば、人工知能の利用に際して個人医療情報が流出する恐れがあると考えるからだ。つまり、判断能力を持たない患者に対してどのような第三者も保護者となることを許容すれば、保護者の立場を利用して誰もが患者の個人医療情報を入手することが可能となり、保護者が患者との何らかの利害関係にあれば、個人医療情報を利用される恐れがあるからである。(788字)

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