2020年度 浜松医科大学 看護学科 学校推薦型選抜 小論文 模範解答
ケース1において居宅を希望する者が7割を超えるのは、末期がんであるものの生活に支障がないため、居宅にて家族との時間を過ごしたいという希望があるからだと考える。ケース2では、医療機関や施設を希望する者が6割いる。これは、食事や呼吸に不自由があるため医療機関等で終末期を過ごし、家族の介護負担を軽減したい希望の現れだと考える。
ケース3の場合、医療機関と施設を希望する者の割合が合わせて7割を超える。こうした希望が見られるのは、意識や判断力は正常であるものの、身の回りの手助けが必要なうえに、重度の心臓病への対応に居宅で過ごすことは不安があるからだと考える。ケース4では、施設を希望する者が6割近くいる。認知症が進み衰弱が進行している状況は、他者の手助けや介護が必要となる。したがって、施設を希望する者が多いと考える。ケース5において、約7割が医療機関を希望するのは、意識がなく衰弱が進んでいる状態では、家族や施設における介護は困難と判断できるため、医療機関を希望するからだと考える。
以上のケースを踏まえ、終末期における医療やケアについて十分に本人の意志が尊重されるようにするためには、どうするべきだろうか。まず、終末期においてどうするのかを、個人で考えたり家族間で話し合ったりする機会を設け、本人の意志を確認しておくことが必要だと考える。というのも、終末期において認知症になったり意識がなくなってしまえば、本人に終末期のあり方を確認する方法がなくなり、本人の意志が尊重された医療やケアが行われなくなくなるからだ。また、終末期にある人が望ましい選択を自らできるように、医師やソーシャルワーカーなども加えて、患者の取りうる選択肢をわかりやすく説明することが肝要だと考える。なぜなら、終末期にある人間自身が、医療制度や病状などについて理解を得ていなければどのような選択肢が望ましいか判断できないと考えるからだ。