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2019年度 早稲田高等学院 一般入試 小論文 模範解答

オープンチャット「大学入試 小論文 対策相談室」


「軽症の場合の救急車要請を有料化すること」について、賛成の立場を示す。賛成の理由は大きく三つあると考える。第一に、救急車利用の「有料化」によって不要不急の救急車の出動を減らし、本当に救急搬送が必要な人の救急車の利用を促すためである。なぜなら、一割であっても重症者の命を救うために救急要請に対して救急車を派遣することは、不可欠であると考えるからだ。他方で、有料化に反対しうる要因として、救急搬送の要請にあたって、軽症かどうかの判断の難しさが挙げられている。しかし、これに対応する体制を取りうることが考えられる。たとえば、救急車を呼んだほうがいいのか、今すぐ病院に行ったほうがいいのかなど迷った際の相談窓口として救急相談センターを開設し、電話やインターネットによるアドバイスが受けられる仕組みを作ることによって、救急搬送が必要かどうかの判断に役立ててもらい、軽症者の救急搬送を減らすことができると考える。
 第二の理由は、救急車要請の有料化により、多額の消防関連の経費を削減することは、全国の自治体の負担を軽減することになり、良い行政の実現の目的に適うからである。つまり、二兆円にのぼる経費を削減できれば、他の行政施策の拡充が可能にしたり、あるいはより高度な救急医療体制の整備も可能になると考える。一方で、有料化に反対する懸念として、第三者により救急要請をされた傷病者やその家族が料金の支払いを拒否する、あるいは経済的に料金を支払うことができない場合も考えられる。こうした事態に対して、医療機関以外に料金徴収を専門とする部門を組織し、支払い責任が当事者にあることを規定する法的整備を行う必要があると考える。そうすれば、支払いの拒否による料金の未徴収を回避できると考える。
 第三の理由は、救急車要請の有料化には、海外における有料化の実例、実績があるからだ。したがって、有料化制度の運用の仕方について、諸外国の制度から学ぶことができる。しかし、重症患者や本来救急要請を必要する市民が要請を躊躇し、市民サービスの低下につながるという指摘もあり、これは有料化の反対意見として妥当なものである。そこで、医療機関などで既往歴などの情報収集を充実させ、地域においてどのような人が重症化する可能性があるのかを事前に調査し、事前に救急要請を必要とする可能性のある人々をデータベースとして把握しておくことで、重症化した際に救急要請を迷うことなくするように事前に指導できると考える。また、生活困窮者が経済状況により救急要請をためらうことがないように、生活保護等と同様に救急車利用に対するの対応費用予算を組み込んで、社会保障制度のなかで対応することが考えられる。
 以上の理由から、「軽症の場合の救急車要請を有料化すること」について、私は賛成の立場を取ると考える。(1163字)

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