2021年度 浜松医科大学 看護学科 学校推薦型選抜 小論文 模範解答

 介護する側の「こころの揺れ」とは、介護者が被介護者に寄り添いたいという気持ちを持つ一方で、介護状態がいつまで続くのかわからないことや長期の介護に対する疲労感や徒労感も抱えているという心的な状態を指すと考える。
 というのも、介護者は介護による身体的、精神的、さらには経済的な負担から、介護を行うことに疲弊し、家族の介護に疲れたという人もいるからだ。他方で、介護される側の「こころの揺れ」として、被介護者が介護を受けることに感謝をしつつも、介護を受ける自分自身のあり方について不甲斐なく感じたり、介護者に対して負担や迷惑をかけているのではないかという感情を持つ状態が考えられる。というのも、被介護者はそれまではできていたことができなくなり情けなさを感じることや、周囲の人にいろいろ行ってもらうことへの申し訳なさなどから、今後の生活はどうなるのかという不安を感じることが容易に想像できるからだ。それでは、介護する側、介護される側の「こころの揺れ」がこのようなものであるならば、看護職はどのような存在であるべきだろうか。
 看護職は、介護する側として専門的な知識や技能をもってケアの一助を担い、介護される側のニーズや気持ちに応えるとともに、被介護者の家族や身内などにも寄り添うことができる存在であるべきだと考える。というのも、被介護者のみならずその家族も、介護のもたらす負担や不安を抱えていると考えられるからだ。したがって、看護職は、健康維持に関する指導、病状に関する知識の指導、被介護者の家族等に対して看護技術の指導を行うことに加えて、被介護者とその家族とのあいだの家族間のコミュニケーションの橋渡しを行い、家族も含めて円滑な介護が行えるようにサポートすることが必要であると考える。それゆえ、被介護者の家族も含めた包括的なケアを行うことがこれからの看護職には求められると考える。(783字)

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