2019 奈良県立医科大学 医学部 看護学科 小論文 模範解答 【小論文Ⅰ】
2019 奈良県立大学 医学部看護学科 小論文Ⅰ 模範解答
小論文Ⅰ
問1
・平成13年以降、男女ともに平均寿命と健康寿命は緩やかに上昇し、いずれも約2年増加して
いる。
・平均寿命、健康寿命ともに、男性よりも女性のほうが高く、平均寿命では約6年の差がある。
・例年、平均寿命と健康寿命には差があり、男性では約9年、女性では約12年の開きがある。
・平均寿命と健康寿命との差は、年を経るごとに男女ともに拡大している。
・健康寿命は男女ともに、75歳には到達していない。
問2
・約2割(19.0%)の男性は、70歳になる前から自立度が低下し、70歳を過ぎると自立度は1
以下まで急低下し、90歳になる前に死亡する。
・男性の7割(70.1%)は、75歳ごろから自立度が落ちていく。
・約1割(10.9%)の男性は80~90歳まで元気なまま自立度を維持できている。
・女性では、男性よりも少し早い、70歳前半から緩やかに自立度が低下しているB群が約9割(87.9%)を占める。
・女性の約1割(12.1%)は70歳前半に自立度1以下まで急低下する。
問3
図1からわかるように、「健康寿命」と「平均寿命」との間に差があることは、日常生活に制限のある「健康ではない期間」があることを意味すると考えられる。実際に、図2から、約8割の人たちが75歳前後から徐々に衰えがはじまり、自立度が低下し、何らかのサポートが必要になるということが推測できる。したがって、平均寿命の延伸に伴い、こうした健康寿命との差が拡大すれば、医療費や介護給付費の多くを消費する期間が増大することになる。それゆえ、平均寿命と健康寿命の差を短縮することが課題となると考える。なぜなら、高齢者の生活の質の低下を防ぐとともに、社会保障負担の軽減も期待できるからだ。以上より、超高齢化社会においては、70歳以降の高齢者がいかに健康を維持し、健康寿命を延伸させるかが課題となると考える。
それでは、こうした超高齢化社会の課題に対してどのような対策が考えられるだろうか。考えられる対策は大きく3つある。第一に、「健康寿命」が延びるように、食事や運動をはじめとした生活習慣の改善を目的とする取り組みを医療機関や保健行政が推進することが必要だと考える。というのも、個人が自助努力によって生活習慣等を改善することは難しいと考えるからだ。したがって、広く国民の健康増進を教育、啓蒙するような取り組みが望まれる。第二に、早期から高齢者に対して訪問診療などを行い、健康指導を行う体制を整備することが考えられる。なぜなら、現状は健康であっても、将来的、あるいは進行中のリスクを回避、軽減するために、医師らの専門家による指導を高齢者が受けることは有益だと考えるからだ。第三に、高齢者が充実した生活を送ることができるように、高齢者の生きがいとなる仕事の雇用の増進やコミュニティの形成を促進することが重要だと考える。というのも、生きがいとなる事柄があれば、健康でいようという意志を生み出すことができると考えるからだ。(794字)