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2021年度 埼玉大学 工学部 環境社会デザイン学科 学校推薦型選抜 小論文 模範解答

問1
ある土木構造物が属するネットワークを無視し、それを単独でメンテナンスすること。(39 字)


問2
図1を見ると、事後保全に比べ予防保全の方が、メンテナンス回数は多いものの、トータルコストを縮減できることができ、また、後者の方が、供用期間における構造物の健全性を高い水準で維持できることが分かる。(98 字)



問3
土木構造物の戦略的な維持管理計画の策定には、まず、その構造物が属するネットワークにおいて担う役割、またそれが置かれている環境といった周囲との関係の観点が必要である。たとえば、ある橋が隣県との物流のハブとなっているとしたら、これは広域交通において重要な役割を担っており、高い安全性はもとより、交通量の多さに由来する消耗に応じたメンテナンスが必要となるだろう。次に、具体的な保全の管理水準やサイクルを決定する必要がある。そのためには、同様のケースで蓄積された点検データを検討し、劣化予測の精緻化を図ることが有効である。先の橋の例でいえば、規模と交通量の似たケースの点検データを参照することで橋の劣化を精緻に予測し、予防保全か事後保全かに合わせた管理水準を算定できる。これにより、橋の将来的な維持管理計画を詳細に立てられるようになる。さらにこの橋の点検データそのものも、維持管理計画の将来的な修正や変更への情報源となる。
(407 字)


問4
少子高齢化社会におけるインフラメンテナンスの問題点として、技術系職員の人材不足が挙げられる。インフラの保守管理には、それを担当する技術者が要請される。メンテナンスには土木作業が必要になることも多く、それには体力のある人間が適任であり、そうした人間は高齢者というよりも、若者に多いだろう。しかし、社会の少子高齢化によってそのような職を担える人材が減少している。この状況にたいして考えられる工学的対応策のひとつは、構造物の材質の改良だと思われる。材質の耐久性を上げることで、メンテナンスに必要なサイクルをのばし、それによって工事の回数を減らすことができるだろう。そうなれば、工事に駆り出される技術者の人数も減り、人材不足を補うことが可能だと思われる。また、保守管理の機械化や自動化を進めることも、人材不足への有効な対応策だろう。たとえば、ドローン開発により、人が現地に行かなくても、高所や危険な場所での点検作業が可能になるだろう。(413 字)

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