2020年度 東京学芸大学 A類 初等教育専攻 国語コース・B類 中等教育専攻 国語コース 学校推薦型選抜 小論文 模範解答
2020 年度 東京学芸大学 学校推薦型選抜 A 類国語コース、B 類国語コース 模範解答
問1
ことばの本質についてバフチンの引用からわかることは、ことばが他者とのやりとりにあるということである。ことばを教えることもまた、この本質の展開として他者の尊重を前提としている。そもそも教育とは、社会の定めた「善良」「望ましさ」を元に、子どもを教え導くことだとされる。とはいえ、エッセーが示すように、ことばの教育においては、他者たる子どもとの関係の脈絡を抜きにして、一般的な「善良」を子どもに押し付ければ、子どもの成長に悪影響を及ぼすことがある。子どもは一人ひとり特別な存在であり、そのかかわり方も一般化不可能である。この不可能性ゆえに、ことばの教育はたしかに恐ろしいものである。だが、この教訓は一般的な「善良」そのものを問いに付す可能性をも秘めている。つまり、ことばの教育は、教育そのものにおいて問われざる前提となっている「善良」の意味をもう一度考え直させる契機ともなりうるのである。(391 字)
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