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2021年度 早稲田大学 社会科学部 自己推薦入試 小論文 模範解答


 コロナ禍を改革の機会にするためのアイディアとして、私は、テレワークを活用した地域活性化を挙げる。テレワークとは、パソコンやモバイル端末などを使用して、働く場所にとらわれない柔軟な働き方をすることである。テレワークはコロナ禍における感染症対策として多くの企業で導入された。テレワークの定着に伴い、オフィス出社の必要がなくなったことから、都心に住まずともこれまで通りの仕事を続けられる環境が整いつつある。
 周知のように、日本では高齢化が急速に進んでおり、とくに地方では、人口減少も同時に進み、共同体の持続が危ぶまれるほど深刻な状況になっている。そのため、地方への移住による地域活性化は日本社会にとって重要な課題である。
 しかしこれまでは、移住したくても移住先に仕事がないという点が解決されるべき問題として残っていた。そこで、コロナ禍において導入が進んだテレワークを継続することで、都市圏で行っていた仕事を移住先でも継続できるようになる。これによって職の不安がなくなり、地方移住者が増加すれば、地方の人口減少に歯止めがかるだろう。また、これによって地方の財政が改善され、行政サービスの水準の維持や、地域のコミュニティの活発化が可能になると考えられる。 
 この方策は、移住する個人にも、導入する企業にもメリットをもたらす。まず個人は、都市部よりも物価の安い土地で、通勤ラッシュのストレスを感じることなく生活できる。つぎに企業も、従業員がどこにいても業務を行えるため、賃貸料の高い都心部にオフィスを構える必要がなくなる。
 このような長所を踏まえ、国や地方自治体は、都市部から地方への移住を促進する制度を充実させ、継続的に支援していくべきである。その例としては、移住支援金の支給、お試し移住体験の実施、一定期間住み続けた人への家や土地の譲渡などが考えられる。

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