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2019年度 横浜国立大学 教育学部 学校教員養成課程 学校推薦型選抜(全国枠)小論文 模範解答
問1.
「学級規模の縮小」について費用対効果の検討が必要である理由は、教員を採用するためのコストが膨大にかかることによって、「学級規模の縮小」に対する費用対効果が低減することが危惧されるからである。というのも、学級規模を縮小すれば学級数が増えることになり、それゆえ増加した学級の数に合わせて教員の数も増やす必要があり、その結果、単年度の施策とは異なり、継続的に人件費がかさむことになるからである。(194字)
問2.
「教師と学習の関係」が学力に対する効果量を有するのは、教師と子供の関係が良好であれば、子供の学力が伸びるからだ。著者によればその理屈は、以下のように説明される。子供に共感的に接する教師の存在によって、子供たちは自分が尊重されていると感じるようになり、さらにそうした子供たちは学級において友達も大切にするようになる。その結果、学級は安心感や雰囲気が醸成され、子供は学習に集中して取り組み、友達を尊重し、自主的・自律的に学習するようになる。
「教師と学習の関係」が学力に対して効果を有することが明らかならば、教師が子供たちに共感的に接するためにはどのようなことが求められるだろうか。著者によれば、教師と子供の人間関係において大切なのは、「子供が伸びる存在だという態度で子供たちに接すること」であるという。したがって、教師は子供をよく観察し、子供の持つ性質や優れた点を見出しながら、現在の子供のあり方を肯定しつつ、子供に対する想像力を働かせることが必要だと考える。というのも、教師が子供の成長を想像することによって、初めて教師自身が子供たちに期待を寄せることができると考えるからだ。そのためにも、子供たちに積極的にかかわり、子供の話をよく聞き、子供を思いやることが教師にとって不可欠となる。以上より、日常的な教師と子供たちとの触れ合いの中にこそ、実は子供たちの学力を向上させる鍵があるといえる。(593字)