2020 群馬大学 共同教育学部 一般入試 小論文 模範解答
小論文1
問一:200
「情報の生態系が破壊される」とは、想像力が貧困になった結果、人間や社会のさまざまな側面に亀裂が生まれることである。写真や映像の普及によって、私たちは想像力を働かせることが少なくなり、イメージを作り出す力が貧しくなった。その結果、本当は共有されていない他人の経験や気持ちも想像できなくなっている。そうすると、社会はつながる力を失い、新しいことを企てる力もなくなり、社会から未来が消えることになる。(197字)
問二:400
筆者は、想像力の貧困の原因として、写真や映像の普及によってイメージが過剰になったことと、同じイメージを共有したせいで他人の気持ちを想像しなくなったことを挙げる。したがって、私たちの想像力をいきいきと発揮するには、これらの原因となる状況を変えていく必要がある。第一に、イメージの過剰に対しては、写真や映像の使用を抑制するべきである。たとえば、学校教育においては、写真などに頼らず、文字ベースの教材をあえて用いると同時に、活字のみの読書を推奨する。第二に、他者の気持ちを思いやる力を養うには、子どもたちに、通常の人間関係の外側にいる人と積極的に交わる機会をもたせるべきである。たとえば、他学年同士でペアを作り、ひとつの課題に取り組ませるような授業や活動があれば、子どもは、自分と文脈を共有していない他者の考えや気持ちを想像することになる。(367字)
小論文2
問:400
若者の挑戦する意欲を引き出す教育として、私は、知的好奇心を刺激しながら小さな成功体験を重ねていくことで自己肯定感を高めることが必要だと考える。資料の意識調査結果によれば、諸外国と比較して、日本の若者は自分に満足している割合と、うまくいくかわからないことにも意欲的に取り組む割合が低い。そこで、日ごろの学習のなかで、わからないことを自分で解決するという体験を頻繁に持つことができれば、子どもは自信を持ち、成功が確信できない事柄にも積極的に取り組むようになるだろう。具体的には、小学生のころから知らない言葉や疑問に思うことがあったときは、自主的に辞書や事典を使って調べ、自分が引いた項目に付箋を貼っていくという指導が考えられる。使い込まれていく辞書や増えていく付箋によって、子どもは努力したという実感を持ちやすくなり、学習意欲と成功体験を重ねていくだろう。(376字)